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2013年3月31日日曜日

FF-20で自作RCAケーブルを作ってみよう!その2

先日の「FF-20で自作RCAケーブルを作ってみよう」の後半です。前回はRCAケーブルを製作しましたが、今回は製作したRCAケーブルと、オヤイデの市販ケーブル、私の手持ちのRCAケーブルを交えての比較試聴です。それぞれある程度の期間使い込んだケーブル。新作の電源ケーブルFF-20を使用した自作RCAケーブルは20時間ほどのエージングで、本領発揮まではまだまだ鳴らし足りないが、そそくさと比較してみよう。

比較試聴に用いたのは私の自宅オーディオシステム。

レコードプレーヤー:テクニクス SL-1200Mk1
フォノイコライザー:KAB MQS Mk12
PC:MacBookPro 15inch
CDプレーヤー:タスカム CD-601Mk2
D/Aコンバーター:アポジー Rosetta200(オーディオインターフェース)
クロックジェネレーター:アンテロープOCX
パッシブプリアンプ:ステラボックス PR2
パワーアンプ:ラックスマン MQ-88
スピーカー:3Way4ユニット自作スピーカー(炭山アキラ作)

ケーブル試聴はプリとパワーの間で、選曲は私の愛聴盤数枚。

ベルデン88760+スイッチクラフト3502AAU使用自作RCAケーブル。鈴メッキ銅、フッ素樹脂絶縁、アルミホイルシールドによる2芯シールド線。すっきり細身の音。シンバルが突出して聴こえる。ボーカルはあまり出て来ない。

オーディオクエストVIPER。単線ケーブル。ピアノが端正で、こじんまりとした正確な音。まとまりの良い音。シンバルの立ち上がりもよい。適度な暖かみも感じさせる。

ウエスタンサウンドインク製ビンテージRCAケーブル。1940-1950年代ウエスタンエレクトリック製0.65mm錫メッキ単線による2芯シールド線。レンジは狭いが、中域重視で、ボーカルが艶やかで艶かしい。シンバルも小気味良い。低域も引き締まり弾む。見た目は安っぽいが、音は意外と悪く無い。

オヤイデ電気PA-02TR。PCOCC-A0.75スケア、PE絶縁、PCOCC-A編組による2芯シールド線。すっきり適度な張りを持たせた音。シンバルが突き抜け、ピアノは薄いが立ち上がりが鋭い。

オヤイデ電気ACROSS750RRPCOCC-A0.75スケア、PE絶縁、PCOCC-Aスパイラルシールドによる1芯シールド線。声がリアルで良い。音に躍動感があり、PA-02TRよりダイナミックレンジが広くなり、やや下寄りの落ち着いた帯域バランス。ドラムが引き締まってリズミカル。

オヤイデ電気TUNAMI TERZO RR。PCOCC-A1.25スケア、PE絶縁、銅箔による2芯シールド線。声が透き通り、個々の楽器の分離がとても良い。ドラムが気持ちよく沈み込み、打撃音満点。低域に厚みのあるピラミッドバランス。

オヤイデ電気AZ-910。5N純銀単線、フッ素樹脂絶縁2芯シールド線。粒立ちの細かい、繊細な音。ワイドレンジで解像度の高さは試聴ケーブル随一。個々の楽器のピントが鮮明。クールで正確な音という印象。

FF-20自作RCAケーブル。パワー感が圧倒。力強いシンバル。瞬発力のある立ち上がりの鋭いドラム。芯があり、地響きを感じる音。いままで感じにくかった弦のスクラッチがはっきり強めに聴こえる。

なんというか、FF-20自作RCAケーブルの出音が予想通りというか圧倒的で、ある意味、他を引き離した個性的な音色。硬い音色なのだが、時間が経てば硬さもほぐれるだろう。自作できる人にはパフォーマンスが極めて高いRCAケーブルだと思う。このケーブル、取り回しがしにくいのが難点。1mもので製作したのですが、私の現在のシステムでは長過ぎて部屋の壁に当たってしまうので、もう一度短めのものを作り直そうかと思っています。今回製作したケーブルは、オヤイデ電気オンラインショップのプレゼント品に出そうと思っているので、興味のある人は時々ショッピングサイトをチェックしてみてね。

市販品ではTUNAMI TERZO RRが素晴らしく、ラインケーブルのどこかに組み込みたい印象。AZ-910は値段も高く、音色が繊細で万人向けではないかもしれないが、AZ-910とTUNAMI TERZO RRを組み合わせると、ちょうど良いバランスになると思う。現に私のシステムにおいて、CDプレーヤーとプリアンプとの間はAZ-910に使われているFTVS-901を使用した、自作XLR-RCAケーブルだからだ。

「アナログサウンド大爆発!オレの音溝をほじっておくれ」に出演します!

お伝えするのがずいぶんと遅くなりましたが、有料衛星音楽ラジオ「ミュージックバード」の番組、田中伊佐資さんの「アナログサウンド大爆発!オレの音溝をほじっておくれ」にオーディオみじんここと私が出演しました。前半と後半の2回にわたる放送ですが、すでに前半は昨日3/30に放送済み。後半は4/6に放送されます。

( 3月30日 放送)  ・ The Knife / Genesis  ・ Can Utility and the Coasliners / Genesis  ・ Squonk / Genesis  ・ Wot Gorilla / Genesis
( 4月6日 放送)  ・ AloneTonight / Genesis  ・ Keep It Dark / Genesis  ・ Invisible Touch / Genesis  ・ I Don't Wannna Know / Phill Collins  ・ One More Night / Phill Collins  ・ All I Need Is A Miracle / Mike & The Mechanics  ・ Throwing It All Away / Genesis

私が持参しておかけした曲はご覧のとおり、私の大好きなプログレバンドのジェネシスと、そのメンバーであるフィルコリンズ、マイクラザフォードのソロアルバムから。ジェネシスの変遷をかいつまんで追っていくという、非常に偏った内容となっております。ジェネシスメンバーでいうと、ピーターゲイブリエルやトニーバンクス、スティーブハケットなど、ほんとはもっとかけたい曲があり、わんさとレコードを持参してお伺いしたものの時間が足りず。

で、番組中では私が手がけたオヤイデ電気の製品たち、INS-CF、INS-SP、INS-US、INS-SQ、INS-BDクリーニングスティックEC、カートリッジスペーサーMCS-CFなどのよもやま話も盛りだくさん!収録時点の2月ではまだ公になっていなかったPCOCC生産終了について匂わすコメントもあったりして。新型電源ケーブルFF-20についても、その製品化の社内的な話をおもしろおかしく暴露。あとは、私の自宅システムの近況なども交え、どうせ会社のスタッフの耳には入らないだろうと思って、好き勝手話しています。ま、ジェネシス好きな人もそうでない人も、アクセサリーに興味のある人も無い人も、ミュージックバードが聴ける環境にある人は、ぜひチャンネルを合わせて見て下さいね!


ゼンハイザーHD800用バランス式ヘッドホンケーブルHPC-HD800BAL残り僅かです!

昨年末にラトックシステムで先行発売し、今年2月にはオヤイデ電気のショッピングサイトでも発売開始した、オーディオみじんこシグネチュアモデルのゼンハイザーHD800用バランス式ヘッドホンケーブルHPC-HD800BALがそろそろ無くなりつつあります。ラトックのRAL-DSDHA2など用に限定数50本で製作したこのヘッドホンケーブル、オヤイデ電気での在庫は残り2本、ラトックの在庫もそろそろ一桁台に突入していると思います。ご購入いただいた皆様ありがとうございます。欲しい方は、ラトックの方が若干安く、かつ在庫はオヤイデより保有していると思うので速攻ご注文されることをおすすめします。無くなったらごめんなさいです。

オヤイデ電気のHPC-HD800BALショッピングサイト 15,960円
ラトックのHPC-HD800BALショッピングサイト 15,200円


問題は再生産しようにもHD800用プラグが無くなってしまったこと。先日、HD800用プラグをオヤイデ電気で大量購入された方がいて、店のB級アウトレットHD800プラグでは足りず、HPC-HD800BALの第二期生産分やイベントの限定品製作用に私がストックしていたHD800プラグも供出せざるを得ず、手持ちのHD800プラグが0になってしまったのです。本ケーブルに使用しているHD800プラグは、内部パーツを他社から仕入れ、アウターカバーをオヤイデ流にカスタマイズしているのですが、その仕入れ単位も数十個では難しいので、はてさてどうしたものか。

それにしても他社もこぞってHD800用ケーブルを発売していますし、HD800ユーザーって本当に多いんですね。ま、HD800はいまやヘッドホン業界のハイエンドの標準的な位置づけになっていて、これが一つの頂点。高価だけど決して手の届かない価格ではないので(新品実売16万円くらい)売れているんでしょうね。

ちなみに、ゼンハイザーHD650用バランス式ヘッドホンケーブルHPC-HD650BALの方は、まだ若干余裕があります。とは言っても、オヤイデ電気の在庫は残り15本を切っておりますので、こちらも早々に販売終了になりそうです。HPC-HD650BALはプラグのストックがあるので、若干数再生産できるかもしれませんが、このヘッドホンケーブル、加工工程が一般のケーブルに比して多く、数倍も手間がかかり、実際に製作を委託したアッセンブル業者も辟易していました。そうそう、ケーブルの分岐部分のパーツが残り少なく、このパーツの残り数量にも再生産数は制約されてしまいます。



本当はこれらバランス式ヘッドホンケーブル、フジヤエービックさんやイーイヤホンさんなどのヘッドホン専門店にもお取り扱いしてもらおうと考えていたのですが、その前に無くなりそうで申し訳ないです。


「オーディオ絶対領域」にPCOCC-A製造中止についてのオヤイデ電気取材記事掲載。


古河電工のオーディオ用高音質導体PC-OCC(PCOCC-H)、並びにPCOCC-Aが、今年度をもって生産終了になることは、すでに先日のみじんこブログや、ファイルウェブなどのニュースサイト、古河電工のホームページに掲載されたので、すでに皆さんご承知のことと思います。

これはPCOCCの結晶粒界の少なさを示す有名な顕微鏡写真。上がPCOCCで、下が普通の電気銅。この違いは銅線の製造過程の冷やし方に起因しています。電気炉から出て来た銅を線引きするとき、通常の電気銅は自然に冷やされていくので、銅線が早く冷めてしまい、多数の結晶粒界が出来上がります。また、電気銅は結晶粒界に不純物や空隙が生じやすく、これも電子の流れを妨げる要因となっています。一方のPCOCCでは、ゆっくりと冷やすことで結晶粒界がほとんど存在しません。また、PCOCCでは結晶粒界がほとんどないことで不純物や空隙が生じにくく、電子の流れがスムーズになると考えられています。ちなみに、PCOCCは表立って純度を公表していませんが、一般には5N相当と言われており、一部では7N相当と謳っているところもあります。

溶解している物質をゆっくりと冷やすと不純物が少なくなるという理屈、これは氷と同じです。水を普通の冷凍庫で急激に冷やすと、空気を含んだ透明度の低い氷になります。一方、水を製氷用の特殊な製氷設備でゆっくりと時間をかけて凍らせると、水分子がゆっくりと結晶化していくため、空気や不純物が水中から抜けていく時間的余裕があります。そして気泡を含まない透明度の高い氷が出来上がります。

PCOCCの開発者である大野博士が「ゆっくりと冷やせば銅も巨大結晶化する」ことを見出したとき、学会では非論理的と捉えられていたようですが、そんな逆風にもめげず大野博士は大野式鋳造法を見事確立。そしてこの鋳造法(ピュアカッパー-大野式キャスティングプロセス=略してPC-OCC)を古河電工が導入して以降、PCOCCはオーディオ用線材の代表格として、皆が知るところとなったのです。似たような巨大結晶銅は、古河電工以外にも日立電線のLC-OFCや三菱電線のDUCCがありますが、広義には大野式鋳造法を応用したものです。また、世の中にはOCCやUP-OCCと呼ばれる銅線がありますが、これは大野博士が大野式鋳造法を自由に使ってほしいとの計らいで、あえて特許を取らなかったためで、大野式鋳造法を元にした銅線に付けられている呼称です。

ちなみに、PCOCCをアニール(焼き鈍し)して使いやすくしたものがPCOCC-Aです。焼き鈍し前のPCOCCは、業界的にはPCOCC-Hと言います。

余談ですが、溶解した金属を結晶化する間もないくらい急激に冷やすと、非晶質金属、すなわちアモルファス金属が出来上がります。アモルファスは磨耗に強いので、よくカセットデッキのヘッドにアモルファス合金が使われていましたね。




話を戻して、私たちがPCOCC生産終了を知ったのは、たしか2月中旬のこと。某オーディオ店に立ち寄ったとき、店員さんから「PCOCCが生産終了って聞いたんですけど本当ですか」と尋ねられ、そんな話は聞いていなかったので、まさかと思い仲介業者に確認を取ったところ、事実だと分かった次第。その後、2013年3月4日に古河電工が自社サイトで同件を報じたため公になりました。


ご承知のとおり、オヤイデ電気のケーブル類にはTUNAMIシリーズを始め、電源ケーブルラインケーブルなどにPCOCC-Aが多用されております。同様の素材を導体に採用しているメーカー、例えばサエク、アコースティックリバイブ、クリプトン、ナノテックなども含め、音の要となるPCOCC-Aの生産終了は死活問題にもなりうる事態。アニール処理前のPCOCCに至っては、オーディオテクニカなど、さらに多くのオーディオアクセサリーメーカーが導体に用いており、影響は多大です。かといって、オーディオ業界でPCOCC-H/Aを消費する量は年間数十トンほど。A団5社(古河/日立/藤倉/三菱/昭和)に名を連ねる巨大電線メーカーである古河電工にとって、PCOCC-H/Aの生産量は銅線の全生産量の1%にも満たない量。だからこそ、古河電工は自社ブランドの「HURUKAWA」PCOCC-Aオーディオケーブルの製造販売から20世紀末に撤退。それ以降は黒子に徹する形でPCOCC-H/Aの製造のみを続けていたですが、それも採算に合わないということで、2013年をもって生産終了と相成ったわけです。

ま、いまさらじたばたしても始まらないということで、何か他の導体を探さないといけないのですが、いまのところ未定です。そう簡単に代替品が見つかるようなものではないですからね。そこらへんの事情について先日、ネットオーディオ誌などで多数執筆されている高橋敦氏からPCOCC-H/A生産終了についての取材の申し込みがありました。最初は、よくもまぁPCOCC-Aが無くなって困っている我々に辛辣な質問をされるなぁと思ったのですが、当社の村山社長に確認したところ、あっさりと取材に応じるとのこと。


お会いしてみると高橋敦氏はとても紳士な方で、今回の事案について純粋にリサーチしたいという気持ちが感じられ好印象。2時間あまりの取材の中で、村山社長も実直に質問に答えておりました。私自身も、うちの社長がPCOCC-Aを採用した経緯や、製品コンセプトについて改めて聞くことができて感銘を受けました。高橋氏とうちの社長との間で語られたことを要約した内容が先日「高橋敦のオーディオ絶対領域【第40回】PCOCC製造中止でこれからどうなる? ケーブルメーカー3社に突撃取材!」に掲載されましたので、よろしければご覧下さい。4から5ページ目にかけては、滅多に表に出ないうちの社長の素顔も公開されています。

2013年3月25日月曜日

FF-20で自作RCAケーブルを作ってみよう!その1

さて、先日のみじんこブログで紹介したFF-20を今度はRCAケーブルに仕立ててしまおうという無謀な企画。この硬い屋内配線用Fケーブルが、はたしてRCAケーブルになど使えるものなのか否か?仮にRCAケーブルに出来たとして、その音は如何に?ということでやってみました!

使うRCAプラグはオヤイデ電気秋葉原店で売っている台湾AEC製のRP-214ZARh。2個1組で1,764円の手頃なRCAプラグです。見た目もご覧の通り、とても美しい。電極部がロジウムメッキで、カバーはニッケルメッキです。

RP-214ZARhのカバーを取った状態。プラス/マイナスともにハンダ付けのこのRCAプラグ、何が特徴かと申しますと、開口径が10.3mmと大きなこと。幅10.2mmのFF-20がそのまますっぽり押し込めるのです。 ちなみに今回の工作では、RCAプラグに設けられたケーブル固定ネジは使いませんでしたが、ケーブルとの接合部に後述する熱収縮チューブの被覆をしない場合は、ケーブル固定ネジでケーブルを固定する必要があると思います。

 FF-20の端末を剥く工程を撮影しわすれたので、いきなりRCAプラグへのFF-20のハンダ付け工程から。まず、FF-20の導体に予備ハンダをします。他に開口径の大きなプラグとしてフルテックのFP-120F(R)やトモカ電気のRCA PLUG(LARGE)がありますが、前者は高価であり、今回のコストパフォーマンスを重視したRCAケーブルにはもったいなく、後者は造りがちゃちいのでパス。
 太い単線なのでハンダ小手の熱が伝わりにくく、やや苦労しましたが、やってやれないことはありません。ご覧の通り、黒い被服をかぶった導体側を20mmほどとして、これをプラス線とします。一方、白い被服をかぶった導体側を8mmほどとし、これをマイナス側にあてがいます。別に黒をマイナス、白をプラスにしても構いません。要はRCA両端で同じ結線になっていれば良いのです。

FF-20をRCAプラグに差し込みます。RCAプラグのピンの内部電極に黒い被服をかぶった導体を、白い被服をかぶった導体をRCAプラグのピン電極以外のどこかにハンダ付けするため、位置合わせをします。先端が細いラジオペンチなどを使って位置を矯正してあげるとよいでしょう。そして、マイナス側をハンダ付けします。これも太い単線が故に一苦労しますが、しっかりとハンダを流します。



 ついで、プラス側のハンダ付け。ピンセットなどで単線を押さえつけて、位置がぶれないようにしてハンダを流してやるとよいでしょう。


 ハンダ付けをし終えた状態。見た目を気にしない人は、もう一方端にもRCAプラグをハンダ付けすれば完成です。仕上げに凝りたい人は以下の工程を参考にしてください。

 ケーブルの見た目を美しく仕上げるため、以下はメッシュチューブの被覆工程です。まず、メッシュチューブ端末をライターなどであぶり、ばらけないようにします。

片端のハンダ付けが終わったところで、化粧のためにメッシュチューブを被せます。


今回用いたのは高密度PETチューブ6mm。前回のFF-20スピーカーケーブルのときに用いたのと同じです。 私は高密度メッシュチューブの仕上げの美しさと、音の引き締まり効果が好きなので多用していますが、世の中には様々な色のメッシュチューブが存在するので、みなさん好みのメッシュチューブで仕立ててみて下さい。

ハンダ付けが終わった RCAプラグのところまでメッシュチューブを通します。

そして、手でメッシュチューブを反対側にしごき、メッシュチューブをケーブルに密着させます。

RCAプラグを取付けた端末を定規代わりに、まだハンダ付けしていない端末側において、メッシュチューブが必要とされる位置を割り出し、余分なメッシュチューブを切り落とすべく、カッターでメッシュチューブに少し切れ込みを入れます。

メッシュチューブを再度ケーブルから少し抜き取り、さきほど入れた切れ込み位置にハサミをあてがい、余分なメッシュチューブを切り落とします。 メッシュチューブの切り口はさきほどと同様に火であぶってばらけないようにします。

メッシュチューブをずらした状態で、RCAプラグをハンダ付けした側のケーブルの根元に両面テープを巻き付けます。 両面テープの銘柄は問いません。

両面テープを巻き終えたところ。一重で構いません。 

両面テープの剥離紙を剥がしたところ。 

両面テープの上にメッシュチューブを被せ、手で押さえつけてメッシュチューブを固定します。

固定を強固なものとするためにフッ素樹脂テープを巻き付けます。これは念のためであって、ここまで徹底してやらなくてもいいかもしれません。

 熱収縮チューブを被せて補強します。熱収縮チューブにはニシチューブの10mmを用いました。ニシチューブはちょっと高価ですが、仕上がりが奇麗で、肉厚で頑丈。私の好きな熱収縮チューブです。

 メッシュチューブの弛み防止とメッシュチューブの端末を隠す意味合いもあります。


 メッシュチューブがヒートガンの熱で溶けないよう、湿らせた布巾などでメッシュチューブを覆いながらヒートガンを使うのが、奇麗な熱収縮チューブのかけかたのコツです。いや、私もよくやってしまうんですよ。横着して湿らせた布でメッシュチューブを保護せずに、大丈夫だろうと思いつつヒートガンで熱収縮チューブをあぶっているうちに、メッシュチューブを溶かしてしまうことが。

ヒートガンでニシチューブを収縮させたところ。 熱収縮チューブはお湯では収縮出来ません。ドライヤーでも熱量が足りず不可。ライターではススが付いてしまったり、収縮がまだらになるので不可。小さな収縮チューブならターボライターやポケトーチでも構いませんが、大きな熱収縮チューブを奇麗に仕上げるには、素直にヒートガンを使いましょう。ヒートガンは高価ですが、ケーブル工作には必須の工具です。これからケーブル工作を志す人は、悪いことは言いません、1台買っておきましょう。私はハッコーのNo.883を愛用していますが、値段が安くて小型で取り回ししやすいプラジェットミニもおすすめです。

RCAプラグのカバーに干渉しないよう、余分な熱収縮チューブをカッターでカットします。

RCAプラグのカバーをかぶせたところ。さて、ここまで述べた要領で、反対側のRCAプラグも取付けて、FF-20 RCAケーブルの完成となります。

完成したFF-20使用自作RCAケーブル。掛かった材料代は1mペアで9,000円程度かな。 もし、このRCAケーブルが、これに数倍する高額なRCAケーブルを凌駕するとしたら魅力じゃありませんか!

FF-20使用自作RCAケーブルと比較試聴したのは、手持ちのRCAケーブルと、オヤイデの主要RCAケーブルたち。さて、どんな結果が待っているのか?続きは次回に!

2013年3月19日火曜日

オーディオみじんこ自宅オーディオシステム2013年3月の様子

 前回のブログでもご紹介した、我がオーディオみじんこ自宅オーディオシステム2013年3月の様子を詳しくご紹介しましょう。


スピーカーは前回のブログにも詳細を記載したフォステクスのスピーカーユニットFW208N/FW168HP/FT28Dを使用した自作スピーカー「サンダー」。私の自作ではなく、炭山アキラ氏による製作。自分の製作したもの以外のスピーカーを使うというのは、私らしく無い気もするけれど、せっかく良いスピーカーを譲り受けたのだから、きちんと鳴らしきるまで使おうかと思っています。なお、サンダーの肩には鉛の板(FJ-02)を載せ、床との間には、30mm厚のハードメイプル集成材を用いた自作ボード、東急ハンズのジャンクコーナーで売っていたアルミの棒を挟んでいます。このアルミの棒、あまり良い作用をしていなさそうで、音がすっきりするものの、低域のコシが無くなったような気がします。外すの大変だからそのままにしてるけど。


オーディオラックに収まるオーディオコンポーネントの近影。この自作のオーディオラックは、いまから3年ほど前に製作したもので、ぱっと見は単純なロの字形状ながら、30mm厚タモ集成材を使った本体部の下部にはステンレス板を折り曲げた、引き出し可能な最下段部を設け、これを挟むようにして大型のキャスターが取付けられた、可動式ラックとなっています。このキャスター、たしかモノタロウで買ったステンレス脚/エラストマー車輪の頑丈なもので、一般にあるようなヤワなキャスターとは違います。





新しい仲間は、CDプレーヤーのTASCAM CD-601Mk2。業務用CDプレーヤーの使いにくさに懲りて手放したはずのEMT981だったけど、またしても業務用CDPを買ってしまいました。けどこのCD-601Mk2、いまのところ普通に使えています。EMT981を手放してから数ヶ月間CDP不在の状態でしたけど、これで普通にCDが聴けるようになりました。

CD-601Mk2はコンパクトで収まりもいいし、中古入手だったので値段もかなりお安く。アナログはRCA/XLR、デジタルはSPDIFだけでなくAES/EBU出力もあり、なにしろワードクロック入力があるのが決め手でした。音はねぇ、良くも悪くもさっぱりしてますよ。飛び抜けてレンジ感や解像度に長けているわけでもないですが必要十分。色つやがあるタイプではなく、素っ気ない音色だけど、値段が安いしね。空間表現はなかなか良い感じで、定位感は申し分無く、音が把握しやすいかも。やや軽めの低域ながら、ポンポンと屈託ない弾むような音色で、しばらくは楽しめそうです。

ほんとはもっと欲しいCDPがあるのだけど、現状のラックでは置き場所の都合から、このくらい小さなCDPしか置けないし、お金が無尽蔵にあるわけでもないので、しばらくはこれで我慢するです。それにしてもこのCD-601Mk2なかなかコンパクトでかわいいでしょ。ただ、スイッチが背面にあるので、ラックの背面に手を伸ばし、手探りで電源オンオフしなければなりません。業務用だから仕方ないけど、リモコン無いのもちょっと面倒です。

そうそう、このCD-601Mk2、スイッチオンから6時間位すると音が俄然冴えてくる気がします。気のせいかもしれんけど。背面にスイッチあるし、ひょっとして常時電源オン状態が基本なのか。だったら、ずっと電源付けっぱなしにしておいた方が良いのかなぁ。いやーそういうの、私はちょっと抵抗あるんですよね。週末2日くらい付けっぱなしは時々してますが、音楽聴かないのに数ヶ月間付けっぱなしとかって、エージングうんぬんより、機器の寿命が縮まりそうで。けど今度、一週間くらい付けっぱなしにしてみようかな。うん、そうしよう。

さて、CD-601Mk2から送られた信号はアポジーのロゼッタ200に行きます。これは鈴木裕さんから譲り受けたオーディオインターフェースで、DACとして使っています。CD-601Mk2とApogee Rosetta200との間は、オヤイデのFTVS-901を使った自作110ΩデジタルケーブルでAES/EBU接続しています。

ロゼッタ200の上段にはKABのフォノイコライザーEQSMk2です。これもここ3年ほど愛用しているフォノイコで、快活で曖昧さ皆無、もっと色気があってもいいかなと思わなくもないですが、1Uラックマウントサイズの薄型機器なので、使い続けています。11種のフォノイコカーブ切り替えができますが、いまのところRIAA以外使っておりませんで、若干宝の持ち腐れって感じです。まぁ、私はRIAAカーブより前のアナログディスク、数十枚持ってはいるけど、実家に置きっぱなしで聴きませんし。あ、もったいないから今度聴いてみよう。急に保管状態が気になってきた。カビ生えてるかもしれん。

EQSMk2の上段にはアンテロープのOCXがあって、ここからCD-601Mk2およびRosetta200にクロック信号を送出しています。クロック用ケーブルにはオヤイデのDR-510や、FTVS-510を使用した75Ω自作デジタルケーブルを使用しています。 

さて、こちらも新入りのプリアンプ、ステラボックスのPR2です。電源要らずのパッシブプリアンプで、入力はRCA5系統。出力はRCA1系統。私の限られたオーディオラックのスペースに収まるコンパクトなプリを探していたところ、出物を発見して即ゲット。いいんですよね、このゴールドムンド譲りのローレット刻みのノブが。ボリュームノブの感触はほどよい粘っこさがあり、セレクタのノブはカチッカチッと。筐体が5kg弱と貧弱なのは、簡素なパッシブプリだから仕方ないとして、御影石ベースにフォックを敷き、INS-SPとINS-USで筐体を支えた上、天面に鉛の薄板とフォックを載せています。気休めですけどね。音は、うーん、普通かな。無色透明ですよ。もっと色艶や厚みがあってもいいかもしれないけど、繊細さを損なわず、パワーアンプにまで信号をストレートに送り出すって感じでしょうか。プリとしての醍醐味を味わうのには、やっぱりアクティブ型になるのかなぁ。PR2とRosetta200との間は、オヤイデのFTVS-901を使った自作XLR-RCAケーブルで接続。

 パワーアンプはラックスマンのMQ-88を使用。これもここ1年ほど変わりなかったっけな。MQ-88の入手時には、他にマランツのModel8BRとアルテックの350Aがあって、3種で聴き比べをしました。当たり前と言えば当たり前ですが、MQ-88はKT88管の威力からか力強さが抜きん出いていて、繊細で可憐な響きのModel8BR、コクのある350Aを蹴落とし、今はみじんこオーディオシステムの要となっています。S/Nの良さも真空管アンプとは思えないほどで、350AのS/Nの悪さにヘキヘキしていた私にとって、MQ-88はまさに雑味なしの大吟醸でした。いや、350AはS/Nが悪かったというより、単に部品の劣化によってノイズが生じていたようで、引き取ってくれたビンテージオーディオショップが全面的なオーバーホールを行った末、見事によみがえったようです。

このMQ-88、我が家に取材に来たカメラマン兼オーディオライターの故山本博道さんがえたく気に入られ、執拗に売ってほしいと迫られたことがあります。山本さんの度重なる攻勢に根負けし、お譲りすることに決め、梱包して送り状まで貼付けて手放すところだったのですが、ご家族からの反対にあって発送直前で購入を断念されました。それから3ヶ月後の2012年1月、山本さんは多発性骨髄腫によって帰らぬ人となってしまいました。山本さんのオーディオにかける情熱は、私にとって本当にまばゆいばかりのもので、山本さんと語り合ったオーディオ話の数々は、いまや私にとって一生の思い出です。オーディオを熱く語る知己がいなくなって、私は身近な肉親を亡くした思いで、空虚感を禁じ得ません。思えば山本さんは私の趣味人としての心の支えでもあり、その死は、私とって人生を方向転換せざるを得ないほど辛い出来事でもありました。

みじんこのPCオーディオはどうなっているのかと申しますと、PCは普段使いしているMacBookPro15インチで、Rosetta200とFireWire接続したいところですが、なぜかOS10.68ではRosetta200が認識されず、かといって緻密で色彩感豊かなRosetta200を手放すのは惜しくもあり、仕方なくStelloのU3というUSB-DDコンバーターを介して、MacからのUSB出力をRosetta200にSPDIF変換して送り出しています。USB-DDコンバーターを入手するに際しては、事前に資料を色々調べてみたりしたのですが、U3がどの程度のものなのか、USB-DDコンバーター同士の機器比べをしたわけではないので、正直わかりません。まぁ、USB-DDCって、メジャーな存在ではないので機種も限られていますし、ダイバーターのような高額なUSB-DDCにいきなり投資するのは怖いので、U3でしばらくは我慢するとします。とりあえず、MacからRosetta200に問題なくデジタルデータが送られているだけでも良しとします。ちなみに、CD-601 Mk2の右隣、パイオニアのBDドライブの上に乗っている小さな黒い箱がU3です。ほとんど見えへんやん。


 みじんこの現在のレコードプレーヤーは、写真一番奥になりますが、テクニクスのSL1200Mk1です。いや、SL1200Mk1にこだわりがあるわけではなく、単に見た目が良くて値段が安かったから買ったのです。配線を徹底的にやりかえてやろうかと思ったのですが、それ以前の問題としてターンテーブルの回転が不安定で調子悪かったです。使い続けているうちに、ようやく回転が安定してきましたが、そうこうしているうちに・・・

こんなものを入手してしまいました。いわずと知れたテクニクスの銘機SP-10Mk2です。いかん、トーンアームが無いやんけ!前ユーザー曰く、キャビネットに空いている孔はFR-64S用らしいのだが、いまやFR-64Sは高嶺の花だしなぁ。何をチョイスしたらいいものか。