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2011年2月12日土曜日

ヘッドホンをリケーブル!


オヤイデ電気では新製品プロジェクトが日々進行中で、これはその新製品に使うための新開発ケーブル。さきほど出来上がってきました。


この新開発ケーブルは、直径2.5ミリほどの1芯シールドケーブルで、線材はPCOCC-A。その他、詳細は秘密。さて何に使うケーブルでしょう?皆さん想像してみてください。答えは、そうだなぁ春頃には明らかになるかな。


それはともかくとして、せっかく出来上がってきたケーブルだから、音質確認かねてお遊びです。これは会社の後輩のヘッドホンでオーディオテクニカのATH-SQ5 RD。スクエア型が斬新なヘッドホンです。オレンジ色も良い感じ。このヘッドホンをリケーブルしてみましょう。


かなり酷使しているようで、パッドはぼろぼろ。ケーブルも断線しかけて、一度自分で短く切り詰めて直したらしく、ケーブルがかなり短くなってます。ぼろぼろになっても使い続けているのには感心。ひとえに愛着が湧いているかららしいです。

SQ5に元々付いているケーブルは1.8mm径くらいで、ごく普通のPVC被覆線。おそらく導体は電気銅のUEW線。手で持っているのが、交換用の新開発ケーブル。


新開発の1芯シールドケーブルを1.3mに2本切り、3.5プラグ(オヤイデのP-3.5SR)のカバーを通した。そして、端末の黒シースを2cmほど剥き、シールド線を露出させた。さらに絶縁材も数ミリ剥いて中心導体を露出。そして、シールド線を2本分まとめて撚り合わせ、各々の導体をハンダでちょっと固めた。ハンダはもちろんオヤイデのSS47


そして、3.5ステレオミニプラグの3か所の電極(右チャンネル+/左チャンネル+/右左共通アース)に、ケーブルの導体を適宜ハンダ付けする。上写真はハンダし終えた後、ハンダ付け部分をフッ素樹脂テープASF-110で覆って絶縁処理した状態。


ヘッドホンをばらす。最初ばらし方がわからず四苦八苦したが、なんのことはない、イヤーパッドを外したらネジが見えた。これを緩めればヘッドホンをばらせそうだ。


ネジを4か所緩めて、ドライバーユニットを外したところ。


ケーブルを切断しユニットを観察する。やはり付属コードの導体はUEW線だ。UEWはウレタン被膜された銅線で、コイルやトランスなどの製作に使われる。ヘッドホンケーブルも、その多くがUEW線を導体に用いている。UEWはオヤイデ電気秋葉原店で、PEW線(ポリエステル被膜線)と並んで、毎日物凄く良く売れるのだ。


さて、新開発の1芯シールドケーブルのヘッドホンユニット側の端末をこのように処理する。そして、テスターで各々のケーブルの中心導体と、プラグの右・左チャンネルの電極をあたって、右チャンネルのケーブルと左チャンネルのケーブルを識別する。


右チャンネルのケーブルをヘッドホンの右チャンネルのハウジングに、左チャンネルのケーブルをヘッドホンの左チャンネルのハウジングに、それぞれ通す。ケーブルを通すのがややきつかったので、接点復活オイルのケイグゴールド(CAIG GN5MS)をケーブル引き出し口に少しスプレーして、ケーブルを通しやすくした。ケイグは接点復活以外に、ぎりぎりの穴にケーブルを通す際、摩擦箇所にスプレーする事で、ケーブルを通しやすくするという使い方がある。ここで、ケイグゴールドを使う理由は、ほぼ無色だから。普通のケイグ(赤い方、CAIG DN5MS)を使うと、あちらこちらが赤く染まって、こすっても取れなくなる。


ケーブル先端から数センチのところに結び目を作り、ケーブルがハウジングからひっこ抜けないようにする。なおケーブル端末には、小さめの収縮チューブで絶縁処理および強度補強を行っている。


元々付いていたケーブルを、予めハンダを溶かして外しておく。そして、新しいケーブルの導体をハンダ付けする。プラスとマイナスとを間違えないように。このヘッドホンの場合、ユニットのプラス側に、黒マジックで印が付けられていたので、そちら側にケーブルの中心導体をハンダ付けした。そして、もう一方のユニットの電極に、ケーブルのシールド導体をハンダ付けした。このヘッドホンのユニットの電極はかなり大きかったので、ハンダ付けに特に苦労する事はなかった。


ハンダ付けが終わったら、ハウジングとユニットがぴったり嵌まるようになるまでハウジングからケーブルを慎重に引き戻し、ついでユニットとハウジングとをネジ留め固定する。


さらにもう一方のユニットにもケーブル導体をハンダ付けし、ハウジングにユニットを戻す。


これにて完成!綺麗に仕上がりました!


元々付いていたケーブルやプラグと、新しいケーブルとプラグとの比較。見た目だけでもずいぶんとグレードアップしましたぞ!!


ちょい聴きですが、かなり変化があったと思います。押し出しの強さ、解像度の向上、切れ味アップ、うーん、全体的に数ランクの上のクオリティアップかと。リケーブル皆さんもぜひお試しあれ。けど、この新開発ケーブル、某新製品用の部材としてのみの非売品となるか、切り売り単売も行うか、それはもう皆さんの反響次第!

オヤイデ電気秋葉原店では、従来よりOFC1芯シールド線のモガミ25262520が安定的に売れています。買っていくお客さんの話を聞いていると、その多くはヘッドホンやイヤホンのリケーブルに使われているようです。

これらモガミのケーブルより、今回作例で使用したPCOCC-Aシールド線の方が、明らかにグレードは上っぽい。壊れかけたヘッドホンも簡単にケーブル交換で蘇って、しかも音質が劇的に向上するなら、ちょっとしたヘッドホンのリケーブルブームになりそうな気配。私的には、ぜひ工作好きの皆さんのために、この新開発ケーブルを店で切り売りできればいいなぁ。社長どうでしょうか?

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