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2013年3月18日月曜日

FF-20でスピーカーケーブルを作ってみた!その2


さて、前回のブログで前置きが長くなりましたが、ここからが本題。オヤイデ電気の新型屋内配線電源ケーブルFF-20で、スピーカーケーブルを作ります。FF-20は2芯のFケーブルなので、電源ケーブル以外にも今回のようにスピーカーケーブルにも使えるわけで、最も簡単なのは端末を適当に剥いて、それをアンプとスピーカーに繋げるだけ。しかし、それでは芸がないので、メッシュチューブ(PETチューブ)を被せて見栄えを良くしましょう。用意したのは、FF-20を必要な長さ(私の場合は1.5mを2本)、音がよくなる高密度PETチューブ(6mm)、PETチューブの両端を仮止めするフッ素樹脂テープ(ASF-110) 、端末の分岐部分を覆う熱収縮チューブ(ニシチューブ)。

なお、メッシュチューブはケーブルに被覆する部分の長さより、少なくとも1.3倍くらい長めに用意しましょう。なぜならば、メッシュチューブはケーブルに被せることで、直径が膨らむ分、長手方向に縮まるためです。メッシュチューブがケーブル被覆時にどれほど縮まるかは、ケーブルの外径とメッシュチューブの外径との組み合わせによって異なるのですが、ケーブルにほどよくメッシュチューブが密着する組み合わせにおいて、おおむね2〜3割ほど短くなると思っておいてよいかと思います。

使う工具は万能ハサミ(ヘビースニップ)、ラジオペンチ(あってもなくてもよい)、端末を剥く長さを測る定規、定規で測った位置に印を付けるペン(マジックでもボールペンでも何でもよい)、外装シースを切るカッター。なお、Fケーブル用のケーブルストリッパーをお持ちの方は、それを使っても良いです。ケーブルストリッパーを使う場合は、カッターは必要ありません。FF-20は寸法的に2CのVVF2.0と同じなので、ケーブルストリッパーの該当する刃溝にFF-20を填めてカットすれば結構。

まず、定規で端末から2本の芯線を分岐させたい長さを測り、ペンで印を付ける。私の今回の作例では端末から20cmのところで芯線を分岐させるべく、印を付けましたが、ちょっと長過ぎた感があるので、一般には15cmの位置で分岐させるのがよいでしょう。

そして、印を付けた位置を盛り上げるようにケーブルをぐいっと折り曲げ、印に沿ってカッターの刃を入れていきます。慎重かつ丁寧に切れ込みを広げていきましょう。FF-20の外装シースは硬いので、思いっきり力を入れて外装シースを切りたくなる気持ちも分かりますが、刃に力を入れすぎると導体を覆う絶縁材にまで切れ込みが入ってしまいますので。

ケーブルの全周にわたり切れ込みが入ったら、外装シースを引っ張って、芯線を露出させます。外装シースと絶縁材との間には、剥離性を良くするためにタルク(白い粉のように見えるもの)が塗布されているので、意外と簡単に外装シースを抜き取ることが出来ます。

外装シースを一本抜き取ったら、それを定規代わりにして、残り3カ所の端末の分岐位置を決め、先ほどと同様に外装シースを除去します。

ステレオペア分のケーブル両端の外装シースを剥き終えた状態。ま、外見を気にせずに、このまま使ってもいいというのであれば、この後端末数センチの絶縁材を剥いて、すぐにスピーカーケーブルとして使えますよ。

しかし、今回は見栄えとさらなる音質向上のためにメッシュチューブを被せてみましょう。メッシュチューブの種類にもよりますが、メッシュチューブを被せると、メッシュチューブの硬さが音質に影響するのか、柔らかいメッシュチューブであれば音が柔らかくなり、硬いメッシュチューブであれば音も硬くなります。もともと硬いFF-20に、さらに硬めのメッシュチューブである高密度PETチューブを被覆することには異論もおありでしょうが、まぁ何を使おうが個人の勝手ですから。高密度PETチューブはねぇ、通常のPETチューブに比べて密にPET繊維が織り込んであって、頑丈でほつれることがなく、下地のケーブルが透けることもなく、見栄えも奇麗で、音色的にも私の好みなんですよ。

メッシュチューブの端末はばらけやすいので、加工に際して端末をライターなどであぶってやりましょう。そうすると、繊維同士が溶着して、ばらけなくなります。ただ、あぶりすぎると燃えますで、サッと軽くなでるくらいにあぶるのがコツ。また、あぶりすぎると、燃えないにしても、繊維が溶け過ぎてリング状に固着し、PETチューブが膨らまず、ケーブルを通しにくくなります。その時は、ハサミで溶着した繊維同士を適度に切断してやればよいです。

PETチューブの切断長さを実測で決めるために、FF-20にPETチューブを通していきます。

ケーブルの一方端の分岐位置にPETチューブの端末を合わせ、他方端の分岐位置にカッターの刃を当て、PETチューブに印になる程度に少し切れ込みを入れます。


そして、ケーブルからPETチューブをいったん抜き取り、PETチューブのさきほど切れ込みを入れた位置にハサミを当てて、PETチューブを切断します。切断した端末はほぐれないようにライターなどであぶっておきます。

適切な長さにカットしたPETチューブを再度ケーブルに被せていきます。PETチューブは長さ方向に縮めると膨らむので、PETチューブを膨らませてケーブルを挿入し、膨らみを伸ばしてPETチューブを前進させ、PETチューブを膨らませてケーブルを前進させ・・・を繰り返してPETチューブをケーブルに通していきます。

PETチューブを所定の位置まで被せ終えたら、フッ素樹脂テープで端末をケーブルと絡めて固定します。ま、この固定用のテープはフッ素樹脂テープでなくてもいいのですが、延びが良く、密着性もよく、薄くて目立ちにくく、経年でも剥がれにくいため、私はケーブル加工のテープ固定作業のほとんどに、このチューコーフローのフッ素樹脂テープASF-110を愛用しています。1巻き1,600円程度と高価なテープですが、値段だけの価値はあります。


さて、次に出て来ましたるはニシチューブ。ニシチューブは西日本電線製の熱収縮チューブで、肉厚で頑強、半艶の光沢が奇麗で、印字もなく、私お気に入りの熱収縮チューブです。今回は贅沢にも3種類(8mm/10mm/15mm)の口径のニシチューブを使って、分岐部分を奇麗に仕上げます。

まず、ニシチューブの8mmを適当な長さ(ここでは25mm)にカットして、ケーブルの端末に通し、分岐部分の根元に位置を合わせます。そしてヒートガンであぶって収縮させます。

次に同じ位置へ、同じ長さにカットしたニシチューブの8mmを被せ、熱収縮させます。

さらに、ニシチューブの10mmを被せます。

ニシチューブの10mmを熱収縮させて、PETチューブと熱収縮チューブで肉付けした部分がツラ一になるようにします。

完成したあとで思いましたが、ニシチューブの方がPETチューブよりもわずかに盛り上がってしまったので、完全なツラ一とはならず、若干の段差ができてしまいました。ここで使う熱収縮チューブはニシチューブではなく、もう少し薄手に仕上がるスミチューブなどの方が良かったかもしれません。

最後にニシチューブの15mmを端末から概ね50mm被せて、熱収縮させます。これで分岐部分の熱収縮チューブ処理は終了ですが、あまり奇麗な仕上がりとは言えませんね。労多くして功少なしになってしまいました。みなさんはこんな複雑な熱収縮チューブの多重掛けなどせずに、熱収縮チューブを一重被せるだけで、十分に奇麗な仕上がりが得られると思いますよ。



ま、なにはともあれほぼ完成したFF-20によるスピーカーケーブル。これは1.5mものですが、やはり端末の分岐が20cmだと、ちょっと分岐部分が長過ぎたような気が・・・。

さぁ、最後に芯線の端末の絶縁材を剥きにかかります。かなり硬めのポリオレフィン絶縁で、導体へ強固に密着してますので、正直剥きにくいです。そんなときはカッターや万能ハサミなどで慎重に切れ込みを入れた後、ライターで絶縁材を軽くあぶってやると、絶縁材が柔らかくなって剥きやすくなりますよ。ワイヤーストリッパーを持っている人なら、苦労せずに絶縁材を一発で除去できるでしょう。


さぁ、絶縁材を取り除いたら、眩しい光沢を放つPCOCC-A単線が出てきました〜!磨いておりませんが、非常に奇麗な表面の単線です。単線の良さは単線であるが故に端末を磨けることにあるのです。より線だと仮に酸化しても磨くの難しいですからね。端末を磨くのにはポリマールや、オヤイデから発売されたクリーニングスティックECがいいですよ。

2013年3月のみじんこの自宅オーディオシステム。前回お披露目した時に比べて細かいところが色々変遷しておりますが、それは後日改めてご紹介するとして、現在はこんなオーディオシステムです。

このスピーカーは、オーディオ評論家の炭山アキラ先生が製作した「サンダー」というもので、オーディオベーシック誌に製作例が掲載されていたもの。先年秋に、我が家に迎え入れられました。

このスピーカーとの出会いは、長岡鉄男先生のチャリティーオークション。その時は、前園さんとじゃんけんで負けて私の手中にできなかったこのスピーカー。それから数年後に前園さんの息子さんと呑んでいる時に、このスピーカーの話題になり、サンダーは前園さんから息子さんが譲り受け、しばらく使用されていたそうだけど、今は使われずにゾノトーンの倉庫に眠っていると聞きました。さらに数年後、某出版社で偶然鉢合わせした前園さんから「あのスピーカー欲しかったらお譲りしますよ。せっかくだから活かしてあげて下さい」とのお声掛け。そんなわけで、前園さんのご好意で譲っていただいたのです。で、炭山さんが一時期、ご自身の自宅メインスピーカーにしようとも思われていたこのスピーカーが、みじんこオーディオシステムに迎い入れられたわけです。

なお、このサンダーはバイワイヤー接続仕様になっています。

ここ半年ほどは、ウエスタンエレクトリックの16ゲージ線を中高域側のスピーカーケーブルとして使用していたみじんこの自宅オーディオシステム。右がウエスタンエレクトリックの16ゲージ線で、左が今回製作したFF-20スピーカーケーブル。ちなみに、低域側にはTUNAMI NIGOを使っています。

いや、これも悪くは無いんですけど・・・。


さて、ウエスタンエレクトリックの16ゲージ線を取り外し、代わりにFF-20でワイヤリング。
ケーブルだらけで、どれがFF-20か分かりにくいですね。

アンプから羽を広げたように空中を這うFF-20。FF-20は硬いので、ダラ下がることはなく、私のシステムの場合には、他のケーブルと絡むこと無く、かえって取り回ししやすかったです。

肝心の音出しです。試聴ディスクはCDで、ヤエルナイム(Yeal naim)のNew Soulなど。一聴して鮮度が上がったぞ。押しが強いピアノのタッチ。いままでか細かったヤエルナイムの声が、ふくよかさを増して、お色気も感じられるように。タンバリンのシャカシャカとした金属音がきらびやかに空間を往来し、これはなかなかに好ましい変化。ケーブルが太くて単線でエージングに時間が特に掛かるものとしても、初期状態ですでに従来のウエスタン線から三歩前進の向上をみた。高域のレンジも一挙に拡大し、確実に中高域の分解能も上がっている。なにしろ、にじみが消えて、音の合間がなんというか、そう透明なのだ。これは単線の効果か、なんなのか。まぁいいや、この際細かい詮索な抜きにしてFF-20のおかげということだ。

次の週、時間経過とともに柔らかなニュアンスが出て来きた。まだまだほぐれきれていない音の硬さはあるものの、初期の明快な押し出し感に加えて、じんわりとFF-20という具材から旨味の出汁がしみ出て来ている様子で、さらに熟成を得て甘美さが加われば完璧ですな。そんなわけで、FF-20は我が家のオーディオシステムに受け入れられそうです。実は、このFF-20スピーカーケーブルと一緒に、FF-20のRCAケーブルも製作し、試聴したのですが、これはまた次回にね。

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