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2011年4月26日火曜日

AntelopeのクロックジェネレーターOCXの効用


オヤイデ電気本社試聴室。
私の自宅からAntelopeのクロックジェネレーターOCXを持ってきました。会社のシステムでどのような効果を発揮するのか見てみたいからです。ちなみに私の自宅では、現在EMTのCDプレーヤーEMT981に接続し、細部の表現力が増した気がします。そう、自宅では気のせい程度の変化だったのですが、敏感な会社のシステムならもっと変化が判りやすいだろうと期待しつつ、まずはクロック周波数をオーソドックスな44.1kHzに設定し、CDトランスポートP-0sにぶち込みました。

予想通り、会社のシステムでは、外部クロックの有る無しがより明確な差となって感じられました。無論、OCXからの外部クロックを入力した方が、P-0sの内部クロックのみに比して良いわけで、奥行き感が増して、個々の楽器の位置関係が明白になり、音像もシャープな方向へ改善が見られました。


ついで、いきなりOCXで設定できる最高のクロック176.4kHzを送り込みました。これは44.1kHzに比してさらにキメが細かくなり、俗に言う粒立ちが細かいという表現が似合いそうな、とてもシルキーで上質な質感へ変化。クロック周波数の違いにかなり敏感に反応するとは、これまた不思議な世界です。


で、つぎは中間あたりを狙って、88.2kHzのクロックに設定してみました。設定とはいっても簡単なもので、OCXの前面パネルのボタンを押すだけ。設定変更後は、P-0sが送り込まれるクロックと同期するまで十数秒待つだけです。

さて、自分好みだったのはこの88.2kHz。なぜか帯域バランスが下寄りになって、すなわち中低域の厚みが増したピラミッドバランスな音調に。これまた不思議なものです。なぜこんな変化があるのか。
まぁ、とにかくもOCXは遊び甲斐のあるおもちゃです。


OCXの背面。他のマスタークロックジェネレーターと同様、OCXも複数のクロック出力ポートを備えます。
ちなみに、私はこのOCXを十三万円ほどで中古入手したのですが、新品の市場価格はだいたい十万円台後半といったところだと思います。それと、今回はOCXのみの効用をチェックしたのですが、クロックジェネレーターの種類によっても音が違うらしいですね。その辺は以前、オーディオ雑誌でも管球王国Vol.47はじめ、幾度か特集されています。


P-0sの背面。VUK-P0のバージョンアップが施されているので、デュアルAES出力が可能で、D-70s とdual AES接続しています。


P-0sの背面の外部クロック入力端子付近。SL75Bがささっています。

試聴室には以前、エソテリックのクロックジェネレーターG-0sがありましたが、ほとんど稼働しませんでした。というのも、うちの社長曰く、エソテリックのG-0sは、音が艶めかしくなりすぎて、好みではなかったようです。で、昨年の機器入れ替えの際、処分しちゃいました。私はG-0sによる変化を聞いてないので、なんとも言えないのですが、少なくともOCXの効き目はちょうどよい感じでした。

ただ、クロックは相手側の機器との相性もあって、クロックジェネレーターを繋げて劇的に効き目の表れる機器もあれば、ほとんど変化らしい変化を感じない機器もあるようで、店に来る常連さんの中でクロックジェネレーターを試した事のある人の話を聞いても、クロックジェネレーター導入には賛否あります。


さて、クロック伝送には、一般にBNCケーブルが用いられます。すなわち、75Ωの同軸ケーブルにBNCプラグを装着したケーブルです。さらに丁寧に説明するならば、CDトランスポートとDAコンバーターの間でよく用いられるBNCデジタル同軸ケーブルが、そのままクロック伝送用ケーブルとして用いられます。

最後に、クロック伝送ケーブル、すなわちBNCケーブルの聞き比べをしたところ、これもケーブルによって激変しました!!クロック伝送のケーブルで音が変わるなんて、そんな馬鹿なことあるか、プラシーボじゃねぇの・・・と言われかねないのですが、実際変わります。試聴に立ち会った私と先輩とうちの社長含め3人とも、かなりの変化を感じ取りました。前述のクロック周波数の変化による音の違い以上に、変化があったかもしれません。変化の印象は、そのケーブルを普通のデジタル同軸ケーブルとして使ったときと同じでした。

聴いたBNCケーブルは3種類。オヤイデの純銀ケーブルDB-510、オヤイデのOFCケーブルSL75B(絶版、在庫限り)、STEREOVOX(ステレオボックス)のHDXV。HDXVは私愛用の私物。細くて取り回ししやすく、値段も安く、付属でRCA変換プラグも付いてくるので、RCA同軸デジタルケーブルにも転用可能で、とても使い勝手が良いデジタルBNCケーブルです。

SL75Bはストレートな感触で、切れ味は鋭く、音の輪郭がしっかりくっきりと表現される中に、適度な繊細さと音場感が加味される。このケーブルの設計思想通り、オヤイデの基準原器として、正確かつ偏りの少ないリファレンス的な鳴り方。

DB-510は、これまた面白いことに、高域の華やぎと情報量の多さ、音の粒立ちの細かさが倍増し、やはり銀線の音。レンジはスーッとつっかえることなく綺麗に広がり、それぞれの帯域にまんべんなくエネルギーが満たされている感じ。SL75Bに比して、音の密度と広がりが2割増し。

DB-510を試聴し始めた瞬間、そのあまりの向上ぶりに、うちの社長が「これは売れるわけだ。」とぼそっと一言呟いたのですが、実際2年ほど前からDB510とDR510の売れ方には加速度がついています。なぜなのか・・・PCオーディオのDDコンバーターが普及してきているから、そこのデジタル同軸に需要が増えているんじゃないの・・・と言ったところが我々社員の推測するところです。しかし、DDコンバーターってそんなにみんな使っているのかなぁ。

最後にHDXVですが、急にレンジが狭まり、高域の延びが寸詰まり。中域中心の鳴り方で、耳当たりは程よいのですが、ハイファイという感じではない。音場も狭まり、音がスピーカーの両サイドに広がりにくく、スピーカーの間だけで鳴っているような印象。これはDB510の後に鳴らしたのが、分が悪かった感じですが、よく言えば、まとまりはよい音だと思います。

ではでは

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