これらの電源ケーブルは国内外のケーブルメーカーに私とオーディオ評論家の炭山アキラ氏が呼びかけ提供してもらったものに、私が電源プラグとIECコネクターを取付けた自作電源ケーブルです。電源プラグにはパナソニックのWF5018K、IECコネクターにはシュルター4781をセレクト。いずれも安価で電源ケーブル自作の定番製品です。さらに、オーディオケーブルメーカー製のケーブルに加え、オヤイデ電気秋葉原店で切売り販売されている産業用の電源ケーブルも加えての試聴。これらの電源ケーブルは総勢50本を超えていて、とても1日の試聴会では全部聴き比べ出来ないという事、2回に分けての試聴だったのです。それがですねぇ、2回では終わらなかったのです!
これらの電源ケーブルは元々私と炭山アキラさんでやっている有料衛星ラジオ放送ミュージックバードのオーディオ実験工房という番組で、電源ケーブルを聴き比べてみようということで自作した電源ケーブルたちだったのです。これらの電源ケーブルの試聴の模様は、ラジオ放送ではすでにこの春に放送済みなのですが、前代未聞の電源ケーブル本数ということもあり、メグのオーナーの寺島靖国さんからメグでもやらないか?と持ちかけられたり、7/25に発売されるケーブル大全2017でもこれらの電源ケーブルを用いた試聴記事が掲載される予定です。ケーブルをご提供下さったケーブルメーカーの皆さんに御礼申し上げます。
3月は1から27番目までを聴き比べ、5月は単線の電源ケーブルから聴き比べを行ったのですが、結局単線の電源ケーブルを皆さんのリクエストで何度も何度も同じケーブルを行ったり来たり聴き比べているうちに、28番から40番までの単線電源ケーブルだけで3時間終わってしまいました。
試聴の間、みなさん真剣に耳を研ぎすませて聴いておられます。左にある巨大な顔はジャズ喫茶メグのオーナー寺島靖国さんのはりぼてで、本人はやや右奥に座られています。
このイベントに来る人たちの多くはオーディオマニア、あるいは生粋のジャズファンで、評価もけっこう辛口。良いものは良いと言い、悪いところははっきりとここがダメと言い切る、ある意味お世辞無しの真剣勝負です。 電源ケーブルで音が変わるなんて信じられない!?という方がいらっしゃったら、次回9月の24日土曜日に続きをやるので、ぜひ吉祥寺のジャズ喫茶メグまで足を運んで下さい!こんなに電源ケーブルで音が変わるなんて!!とびっくりされること請け合いです。私が感心するのは、20代か30代とおぼしき若い方々がちらほら来店されていることで、これらの若い世代がこれからのオーディオを支えて行く貴重な人材であって、これを呼び水に若い方々にオーディオの楽しみを知ってもらえたらと思うのです。
で、今回2回目となった電源ケーブル聴き比べですが、オヤイデのEE/F-S2.6V2はじめケーブルメーカー製の電源ケーブルはさすがに優秀。しかし、産業用電線の昭和電線EEF/F2.0はクッキリはっきり明瞭な音で人気高く、HS&TのEEF/F2.0の粘りのある暖色系の音色も評価高く、塩田電線のEM/EEF2.0の滑らかで女性的な質感も好印象で、これらのケーブルを何度も何度も聴き比べてその違いを肌で耳で感じ取っていただいた3時間でした。
9月は41番のオヤイデ電気のL/i50から最後までを聴き比べます。9月ではこたつコードやペンダント照明用の丸打ちコード、ウエスタンエレクトリックのビンテージワイヤー、AETやクリプトンのオーディオ用電源ケーブルが登場予定。前回と前々回の様子からして、すでに波乱の様相が。電源ケーブルに興味のある人もそうでない人も、このマニアックな空間に一度飛び込んでみて下さい。一見さんお断りみたいな雰囲気は全くありませんので。友人同士で来ている人もいれば、一人で来ている人も多く、女性も何人かいらっしゃいますし。音楽とオーディオを楽しむとはこういうことか、という一端が垣間見える事でしょう。次回開催は9月24日土曜日の19時から22時まで。途中参加、途中退席一向に構いません。入場料は300円ですが、メグの売上のためにビールかスパゲッティかピザかソフトドリンクを注文してあげて下さい。ここのスパゲティやピザはなかなかに旨いですよ。
さて、余談ですが、メグのオーナー寺島靖国さんから頼まれていた事があって、それはメグのプリアンプとパワーアンプとをつなぐラインケーブルの修理です。メグのプリアンプはFMアコースティックで、パワーアンプは現在エソテリックのモノラルパワーアンプ。これらの間をつなぐのは、吉祥寺の隠れ屋的オーディオショップ、ディスク昭和が製作したブラックスーナー製RCAケーブル。なんと15m近くもあるのですが、これのパワーアンプ側RCAプラグがご覧のようにぼろぼろにへしゃげているのです。長年の酷使のおかげでこのような無惨な姿に。
ジャズ喫茶メグではジャズの演奏会が連日のように開催されているのですが、ミュージシャンの方々の中にはけっこう荒っぽく機材を置く方もいらっしゃるようで、持ってきた機材の置き場所が少ない事もあり、パワーアンプの隙間なんかに荷物を置かれる事もしばしば。それで置かれた荷物の重みや衝撃がケーブルに加わり、プラグがぶっつぶれてしまったのです。
荷物をアンプに投げ込まれないよう昨年私はメグのパワーアンプを囲う特製ラックを自作してメグに進呈しました。しかし、RCAプラグはすでに傷んでいて、これでよくもまぁいままで音が出ていたものだと嘆きつつも感心してしまったのですが、せっかく音を売りにしているジャズ喫茶の音がRCAプラグの接触不良で台無しになってしまってはもったいないということで、私が修理することに。ただ難点はケーブルがメグの天井に長大にくくり付けてあって、天井から外して持ち帰りの修理ができないこと。すなわち、現場での修理。これは大変だ!しかも営業時間外にやらねばならないということもあって、6月の某日、ハンダコテや切断工具一式を抱えて、朝早くにメグにお伺いして修理する事にしたのです。
こちら切断した端末。熱収縮チューブを剥いてみると、プラグが現れて、ブラックスーナーのシールドに茶色いケーブルがハンダ付けされていることが判りました。このケーブルが造られたのはおそらく10年以上前、寺島さんがスーナーケーブルに傾倒されていた時のものでしょう。今でも寺島さんはスーナーケーブルのストレートで明快な音色がお好きですので、このケーブルをメグから外すわけには行かないのです。
さぁ、端末に新しいRCAプラグを取付ける下準備を。端末をカッターやヘビースニップで整えつつ、チューコーフローASF-110で要所要所を止めます。
いよいよ最大の難関、はんだつけです。ケーブルをオーディオシステムの裏側から引っ張り出し、テーブルを借りてはんだつけします。
はんだこてはハッコー40Wが使いやすくてよいですね。はんだはオヤイデのSS-47です。ケーブルを固定する作業台は私の自作です。
はんだつけが終わりました!このRCAプラグはブラックスーナーのような直径10ミリもあるでかいケーブルもさし込み可能な特殊なもので、私がむかし若松通商で購入したもの。今でも売ってるかも。
プラグのケーブル引き出し口あたりにホットボンドを塗り付けます。これでプラグとケーブルが強固に接合されます。
さらにニシチューブという厚手の熱収縮チューブを被せてヒートガンで熱収縮させて仕上げます。これで見た目も完璧!
左右のRCAプラグを切り落とした残骸。いままでよくメグを支えてきました。安らかにお眠り下さい。
仕上がったスーナーケーブルの端末。なかなかに奇麗でしょ。
もう一方のRCAケーブルもご覧の通り。正味3時間くらいの作業で、12時からの営業にぎりぎり間に合いました。このRCAプラグコレットチャック式で、おそらく台湾製だと思うのですがしっかり造られています。これから長きにわたってメグを支えて行って下さいね。私も時おり様子を見にきますから。
RCAプラグの修理前と修理後で、メグの音、ずいぶんと変わりましたよ!なにせ、店員の方が「毎日聴いてるメグの音だからよくわかるんです、音の出方が全く違う、凄く良くなりました!」と感激いただいたのが何より嬉しかったです。外観上、メグのシステムに変化はありませんが、5月までのメグの音と6月以降のメグの音は違うはずですよ。
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