用いたケーブルリストはこちら。1−21はオヤイデ電気で買えます。22-27はトモカで買えます。75Ωだけじゃなくて、50Ωとか、その他いろいろ混ざってます。ちゃんと動くか動作確認したかったので。ま、趣味のオーディオレベルで、しかも1mほどの短さじゃ、インピーダンスが75Ωじゃなくても動作してしまうのが、オーディオ機器の間口の広さというか、規格の適当さと言うか。そもそもインピーダンスはRCAプラグのところでずいぶんと変化してしまって整合性が取れてない、それでもオーディオメーカーのデジタルオーディオ機器には平気でRCA型のCOAX入力が設けられている。ま、細かいことは気にせずに、ざっくりと進めていきましょう。
とにかく工作が大変でした。デジタルケーブルだから1本作れば良いのがせめてもの救い。これがアナログインターコネクトーケーブルだったら2本ペアで作らなきゃいけなかったろうし。いつかやりたいんですけどね。切売りアナログラインケーブルの聴き比べも。
ところで、今回は端末で悩みました。ケーブルの太さは2mmくらいからRG11/Uの10.3mmまで千差万別だから、RCAプラグで大は小を兼ねるにも、良さげなものが見当たらない。
というわけで、今回はいったんBNCプラグで製作し、これにBNC-RCA変換コネクタをかましてRCAケーブルに仕立て上げたのです。BNCプラグなら基本構造を同じくしてケーブル引き出し口径が様々なものが揃っているので、端末プラグの条件をきちんと揃えながら、各種ケーブルにきちんと適合した同軸構造を維持しながらの端末加工が行えるのです。これがRCAプラグへのハンダ付けなら、中心導体に対してシールドのハンダ付け部分で同軸構造が崩れてしまい、インピーダンスがきちんと取れないんですよね。無論、デジタル同軸ケーブルくらいの数百メガヘルツといった周波数のそれほど高く無い高周波伝送では、シビアでは無いんですけど。インピーダンスを一定に保つには、中心導体に対するシールド導体との距離を一定に保つ必要があるんです。それはケーブル部分でもプラグ部分でも同じ。だから、私の今回の作例のように、SPDIFデジタル同軸ケーブルの自作においては、できるだけ同軸構造を崩さないよう、BNCプラグを取付けた上で、BNC-RCA変換プラグをかましたほうが、良さげな気がします。ちなみに使ったBNCプラグはトーコネのBNCPシリーズ。オヤイデ電気で売ってます。BNC-RCA変換プラグもBNCJ→RCAP金メッキという名でオヤイデで売ってるもの。
製作の一例。これはフジクラのS5C-FB。アンテナケーブルです。地デジはもちろん、デジタルBSやCSに完全対応した2ギガヘルツ以上の高周波にも使える優れもの。 S7Cクラスの太物ケーブルは100m以上の長距離伝送に真価を発揮しますが、取り回しが難なので、一般の家屋ではS5C-FBとかS4C-FBがちょうど良いでしょう。
使うはトープラのBNCP-5というもの。
さきほどのBNCP-5の取付け方法の説明書とおりに組み立てていきます。
指定通りに次々剥いていきます。
これはシールドにクランプというリング状の金属パーツをかませたところ。
さらに中心コンタクトをハンダ付け。 ハンダはオヤイデのSS-47。溶けやすく作業性がいいからね。ハンダコテはハッコーレッドの40Wを推奨。なんだかんだでこの安いハンダコテが使いやすい。
シェルと呼ばれる本体部分に押し込みます。さらにガスケット、ワッシャー、締め付け金具を押し込んでいきます。シールドはハンダではなく圧着固定なのです。
S5C-FBとBNCP-5によるBNC型同軸デジタルケーブル完成!さて音はどうでしょう?
スタジオに持ち込んでいざ試聴!2回分の収録を半日掛けてやります。
相方の炭山アキラ先生と、ミュージックバードの岩崎プロデューサー。さぁ今回もちゃんとスタジオの録音卓用スタジオモニターで音の差が出るかな?いや、いままで音の差が分からなかったことはないのですよ。
ミュージックバードはその昔48kHzの16bitの非圧縮でCDを凌駕してるのがウリでしたが、現在は48kHzの16bitはそのままに、これをMP2という圧縮音源にして電波を発信しています。それでも音の差は試聴者に届いているようです。ときどきご感想をいただくんです。面白いことをやってくれて、音の差もわかって非常に参考になってためになると。放送を聴きたかったらミュージックバードにぜひご加入を。もちろん初期投資と毎月の会費がかかるけど、それ以上の楽しさがありますよ。
スタジオのSACDプレーヤーPD-70とサンバレーのDACのSV-192ADをテーブル上に設置し、ケーブルを次々と繋ぎかえて試聴開始。コメントを述べつつ、音楽を聴いての繰り返し。これが激変!やっぱりなぁという無難なケーブルから、え?このケーブルがこんな良い音するの!という意外な掘り出し物まで、いろいろ見出すことができたのですよ。世界広しといえども、こんなバカで労力のかかる同軸ケーブル聴き比べをしたのは、我々が最初で最後かも。 とにかく、なんかいままで誰もスポットを当ててなかったケーブルを掘り出したかったんですよね。それと、いままで定番とされていた高音質同軸デジタルケーブルが、実際にはどの程度の実力を持っているのかとか、あばいてやろうと思って。
肝心の結果は放送を聴いてほしいのと、全部書き出すのが大変なので伏せますが、一部の感想は現在発刊中の月刊ステレオ11月号のオーディオ実験工房の連載ページに載ってますよ。
これは凄いと感じ、私が自宅にも導入したいと思ったのは、BELDENの179DTと1505F。179DTはトモカで1m単位で買えるけど、1505Fはトモカでは業者への卸しかしてないとか。うーん、1505Fオヤイデで仕入れて売りたいけど、、、。ちなみに179DTは鮮烈でシャープでハイスピード。スパッと切れ味最高で、こんな2.5mmの極細線から出てくる音とは思えない。いや、今回の試聴で感じたのは、太いケーブルはかえってあまり良く無かった。どうも重鈍で鈍いというか、締まりがないというか、好印象じゃなかったのです。これは波形短縮率などが細い線の方が有利だからか、たまたまスタジオの試聴ではそうだったのか、私の好みの問題か。
ベルデンの1505Fは179DTと対照的な柔らかい音質で、広大な音場でふわっと包み込むような心地よさがとても好き。ケーブルも柔軟でふにゃふにゃ。こんなフニャチンケーブルからこんな気持ちよい音色が出てくるなら、ぜひ自宅にも導入したい。いやー、この心地よさ、みんなにも聴いてほしいな。それと179DTも。
一番細いのが179DT。次が1855A。1505Fは左から2本目かな。それにしてもこれはいいなぁ!と思ったのがベルデンだったとは、、、。あ、それとベルデンの1855Aも179DTのスピード感を若干抑えつつも、中低域の厚みが増して、これも凄く良いと思いましたよ。とにかくベルデンのこの3本は雑味はあるけど、それが生々しいんです。プロケーブルも勧める、私もかつて自宅のシステムに多用していたベルデンの1506Aは、たしかにデジタルケーブルとしては中庸で、無難でバランスが良かったです。1505F、トモカで小売りしてないけど、オヤイデに言えば、トモカから取り寄せで売ってくれるとは思います。トモカも小売りはしないけど、オヤイデへの卸はするそうですから。179DTも私の意向を受けて、オヤイデのお店で売り始めようとしたのですが、スタッフからハンダ付け時に中心導体の周りの絶縁材が熱で溶けやすくてシールドとショートしやすい、という話がでて、トラブルになりそうだから売るのを止めます、ということになってしまいました。うーん、私が何本か作った時点ではそんな難しいことは無かったんだけどなぁ。ケーブルを真っすぐにして、予備ハンダをして、本ハンダもさくっと素早くすれば問題ないです。たしかにハンダの熱で絶縁材がずずずっと溶けますけどね。
フジクラの銀メッキをかけた一連のRGケーブルは、期待してたけど、うーん、シャリシャリしてました。
オーディオ用に作られたオヤイデのFTVS-408やFTVS-510などは純銀らしい澄んで奇麗な音してましたよ、さすがに。けど、今の僕はもうちょっと熱気というか雑味というか生々しさが欲しいのです。向こうから迫ってくるパワフルさ、押しの強さが欲しいんです。
ACROSS750V2 は102SSCらしい高解像度でワイドレンジで色付けない音色でしたが、もう少しガッツが欲しい。ちなみに相方の炭山アキラさんはオヤイデのDST-75V2がお気にいられたようです。DST-75V2はオヤイデの直営店で切売りしています。1メートル1,600円くらいかな。オヤイデオンラインショップにはまだ載ってないです。右から2番目のモガミの2497は中庸で、どうだったかな、あまり覚えてない。
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