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2012年8月8日水曜日

ACTROと3502AAUでRCAケーブル作ってみよう!



オヤイデ電気と言えばケーブル工作。オヤイデ電気秋葉原店オヤイデオンラインショップには、たくさんの自作用端末プラグラインケーブル電源ケーブル用の切り売りケーブルが並んでいます。

ラインケーブルの中でもRCAケーブルは、オーディオシステムで多用されることから、昔からケーブル工作の定番です。また、今世紀に入ってからは電源ケーブルの自作が流行りました。そして、ここ2年ほど前からは、ケーブル着脱式ヘッドホンの交換用ケーブルの自作も流行っています。また、オーディオ関係のケーブルだけでなく、ギターやベースのシールドケーブルや、エフェクターのパッチケーブルなどの 自作に励む方も来店されます。


そこで今日は、ケーブル工作の定番、RCAラインケーブルの工作手順をご紹介しましょう。主な材料はRCAプラグと、切り売りラインケーブルです。RCAケーブルは通常ペアもので造るので、両端末にRCAプラグが付いたものが2本必要なので、RCAプラグを計4個用意します。ケーブルの長さは、接続する機器同士の引き回しの長さを鑑みて用意してください。一般には、ケーブルが1m単位で販売されていることや、機器同士の間は1mペアもので事足りることが多いので、ケーブルの長さに迷ったら1mペアで製作するのが無難でしょう。


これはElectrical Express社のACTRONIC DEVICE(アクトロニックデバイス)0.9mm。1,029円/m。PCOCC-Aの0.9mm単線を中心導体とした、2芯シールドケーブルです。シールドは銅箔で、ハロゲンフリーシース、ポリエチレン絶縁採用など、 音質にこだわった設計の割にはリーズナブルな価格のケーブルです。アクトロニックデバイスは、今回使用する0.9mm以外に、一回り太い1.6mmもあります。

RCAプラグには、オヤイデ電気で安定して売れているスイッチクラフト社の3502AAU。ややレトロっぽいデザインで、スリムな外見。実売483円と値段が安く、工作がしやすく、音質もしっかりしていて、はじめてケーブル工作をする方にもおすすめです。対応ケーブル径は7.2mmまで。

工作に必要なものは、まずハンダとハンダコテ。ハンダにはオヤイデのSS-47を使用。ハンダコテにはガス式ハンダコテGP-510 setを使用。ハンダコテ台もセットされていて、ワイヤレスで、どこでも持ち歩けて、すぐに使用できる便利なハンダコテです。ガス式なので、ガスボンベGP-20も合わせてお求めください。
ケーブル端末の様々なカットに使用する万能ハサミ。ここではホーザンのヘビースニップN-838を使用。カット寸法を測るために、定規もあったほうがよいでしょう。ヒートクリップのようなものか、ピンセットや、ラジオペンチもあったほうがいいでしょう。


ハンダ付け時にケーブルとプラグが動かないよう固定するバイスもあったほうがいいでしょう。今回はEARTH MANのアルミクイックバイス65mmを2台使用します。バイスは、プラグ固定用とケーブル固定用に、最低2台あったほうがいいです。万能ハサミとは別に、カッターナイフもあったほうがいいでしょう。

まずはプラグの本体にケーブルを合わせ、ケーブルの外装シースを剥く位置を決めます。プラグ本体から伸びている銀色の金具、その金具の端にケーブルを固定する、かしめ部分があります。そこから先端までの外装シースを剥きます。

位置決めしたらカッターの刃などを用いて、外装シースに切れ込みを入れていきます。片手でケーブルの端末をねじ曲げて、カッターの刃をちょんちょんと当て、シースの切れ込みを広げ、ケーブルの方向を変えて、シースの切れ込みを全周にわたり広げていきます。アクトロニックデバイスの外装シースは肉厚で頑丈ですが、鋭利なカッター刃を当てればサクッと切れ込みを入れることができます。むしろ、カッター刃を強く当て過ぎて、芯線の絶縁材にまで切れ込みを入れないよう、力を抑えながら慎重に切れ込みを広げていくことが肝要です。

外装シースにある程度切れ込みが入ったら、外装シースを手でひっこ抜いてください。このケーブルの場合、上写真にあるように、外装シースと一緒に銅箔も取れると思います。銅箔が残存している場合は、手やピンセットやカッターや万能ハサミを用いて、丁寧に銅箔を取り除きます。銅箔を取り除いたら、上写真にある様に、透明のポリエステルを除去します。さらに2本の芯線以外の介在物、チューブ状のものが数本あるのですが、それらを万能ハサミの先端を使って綺麗に根本から切り落としていきます。

ガス式ハンダGP-510に着火して30秒ほどすると、実用温度に達します。そのまますぐに使用するのではなく、コテ先の黒ずみをGP-510付属のスポンジクリーナーや、真鍮ワイヤーで出来たコテ先クリーナー599Bなどで綺麗にしてからハンダ付けするように心がけましょう。

アクトロニックデバイスは、赤い絶縁と白い絶縁に包まれた導体を各1本有しているのですが、赤・白の色区分けがあった場合、一般には赤のほうを+側に、白い方を-側(グランド)に用います。今回も赤をプラスに、白をマイナスにあてがいます。

導体を露出させる長さは、赤を15mm程度、白をその半分の7~8mm程度に切り落とします。切り落とすには、万能ハサミが便利です。そして、それぞれの絶縁材を先端から3mm程度除去します。絶縁材の除去は万能ハサミかカッターを使います。もし持っておられるのであればワイヤーストリッパーを用いると簡単綺麗に絶縁材を取り除けます。



アクトロニックデバイス0.9mmは単線なので、撚り線に比べると予備ハンダの必要性は少ないのですが、本ハンダの際にハンダが馴染みやすいよう、予備ハンダを一応やっておきます。


RCAプラグの本体をバイスに固定します。そして、プラグ本体に予備ハンダを施します。予備ハンダとは、ハンダをおこなう位置に、あらかじめハンダを盛りつけておく作業のことで、これによりハンダ付けを一発でおこなうよりもハンダの食い付きがよく、素早いハンダ付けが行えたりするのです。
この3502AAUの場合、マイナス側が銀色の金具の部分になりますので、この金具の真ん中あたりにハンダを適量溶かして馴染ませておきます。どの程度の量を盛りつければよいか?というのはそうですねぇ、雨粒2滴分くらいですね。

今回はプラグの+側にも予備ハンダしましたが、+側は予備ハンダをしないほうが本ハンダを行う際に導体をプラグに嵌めこみやすい場合もあります。したがって、+側の予備ハンダの有無はご自身の好みと経験で行うか否かをご判断ください。


ケーブルとプラグとを接合する本ハンダをおこなう前に、ケーブルにあらかじめプラグカバーを通しておきます。3502AAUの場合、プラグカバーをケーブルに先に通しておかないと、ハンダ付けのあとでカバーを取り付ける事ができません。この手の、ハンダ付け前にケーブルにカバーを通しておく必要のあるRCAプラグは、オヤイデのコレットチャック式GENESISアンフェノールのRCAプラグFP-108Rに代表されるフルテックのRCAプラグなどが挙げられます。

逆に、ケーブルとプラグ本体をハンダ付けしてからカバーを取り付けるRCAプラグもあります。例えば、RP-1013ZAGRP-1013ZARHなどのコレットチャック式、オヤイデのSLSCWBT-0101に代表されるWBT社のRCAプラグが、その手のものです。工作時にどちらのタイプのRCAプラグかよく確認しておきましょう。

2台用意してあるバイスのうち、1台にRCAプラグを固定し、ケーブルを残り1台のバイスで固定し、ケーブルがプラグのハンダ付け位置に重なり合うよう、ケーブルを配置します。



まずはマイナス線をハンダ付けするのですが、プラグの予備ハンダした位置にケーブルのマイナス側の導体がきちんと重なり合うよう、ラジオペンチなどでケーブル導体を押さえてやります。ここではラジオペンチで型を付けましたが、逆作用ピンセットやヒートクリップH-1Lで常時押さえ付けた状態でハンダ付けするとなおよいでしょう。予備ハンダしているので、本ハンダは基本的にハンダコテを当てて予備ハンダを溶かすだけで本ハンダ完了です。ハンダの量が足りない時、ハンダを追加で溶かしてください。

マイナス側をハンダ付けしてから、プラス側をハンダ付けします。こちらも予備ハンダの溶解だけで済みそうであればハンダの追加無しでいいですが、プラス側はハンダを追加で盛りつけてやったほうがいいでしょう。それと、ハンダを盛り過ぎて、プラスとマイナスがハンダでくっつかないよう気を付けて下さい。

本ハンダが終わったら銀色の金具のかしめの部分をラジオペンチでケーブルに締めつけるように巻きつけます。


これであとはカバーを閉じるだけ。

ケーブルに通しておいたプラグカバーをプラグ本体に引き寄せてカバーを閉じます。

カバーを閉じて完成!3502AAUのケーブル引出口の径は7.2mm。アクトロニックデバイス0.9のケーブル径は6.8mm。ケーブル引出口の隙間もほとんど機にならず、収縮チューブなどでケーブル径を調整することなく、ちょうどよい具合にケーブルを引き出せます。

さて、ステレオのアナログラインケーブルの場合、同じケーブルをもう1本製作して、ペアで使用することになります。

ケーブルの右チャンネル、左チャンネルを識別するために、このケーブルでは熱収縮チューブを使ってみます。右には赤、左には白を使います。この熱収縮チューブはパンドウィットの12.7mmです。ヒートガンやポケトーチで炙ると約1/2まで縮まります。

ようやく完成!ま、だいたい1-2時間でできると思います。右左の識別は収縮チューブを使わずとも、シールのようなものでも、ラインストーンを貼り付けても面白いでしょう。

さぁ、皆さんもRCAケーブルの自作やってみましょう。アクトロニックデバイス3502AAUの組み合わせなら、初めてでもきっとできますよ。材料代は1mペアで4,000円ほどしますが、性能的には倍以上は確実、もっと上の価格帯の完成品ケーブルとも張り合える高音質RCAケーブルに仕上がります。
アクトロニックデバイスはここで使用した0.9mm以外にも、1.6mmもあります。3502AAUのL型タイプで3502RAAUが最近入荷しました。3502RAAUは840円と、3502AAUの倍しますが、L型は貴重なので、L型を待ち望んでいた方はぜひ。

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