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2011年5月28日土曜日

AKGのK404をHPC-26Tでリケーブル!

今まさにオーディオの世界は、ヘッドホン花盛り。一昔前に比べて、実にバリエーションに富んだ、個性あふれる高音質ヘッドホンが揃っています。ヘッドホンの愉しみ方も多種多様。その一例としてヘッドホンのリケーブルがあります。リケーブルとは、ヘッドホン・イヤホンに付属しているケーブルを取り外し、より高音質を求めてケーブルを交換することです。

着脱式のヘッドホンの場合は、サードパーティ製の端末処理済みケーブルと交換するだけでリケーブル完了ですが、ヘッドホン本体からケーブルが直出しされている場合、自分でヘッドホンを分解して、元々付いていたケーブルを外し、新しいケーブルをハンダ付けして組み戻す、というちょっとした工作の技量が必要となります。

自作でリケーブルを行う場合、使うケーブルやプラグの組合せ、好みの長さに調整できます。他には無い、自分だけのチューンナップが施せるところに、リケーブルの面白さがあります。また、断線して故障したヘッドホンも、リケーブルの技術があれば生き返るかもしれません。


さて、いよいよ本題。オヤイデみじんこリケーブルの第一弾!
今日は、みじんこ荒川が実際にリケーブルに励んだ中での成功例のひとつ、AKGのK404のリケーブルをご紹介!値段に比して素性よく、ハイCPで知られるk404。この4,000円弱のヘッドホンがリケーブルで数ランク上の機種に対抗できるほどに化けます!これぞリケーブルの醍醐味!では、とくとご覧あれ!

まず、イヤーパッドを外します。簡単に手で外せます。外したイヤーパッドは、作業時に誤って傷付けないよう、作業する場とは別のところに保管しておきましょう。以下、左ch右ch同時進行でリケーブルを行いますが、個別にやっても構いません。

ヘッドホンの側面の溝にカッターなどの刃物をあてがい、刃をぐりぐりと左右に振りながらヘッドホン本体をこじ開けていきます。、時折刃を当てる位置をずらしながら、あせらずに慎重に溝をこじ開けてください。慣れると5秒で分解できます。

溝が広がりつつあるところ。K404の場合、ユニットが付いている本体と、それを覆うカバーとは、ゴム系の接着剤で固定されているので、分解可能なのです。これがレーザー溶接などで固定されているヘッドホンだと、パーツ同士が強固に融着されているので、分解を諦めるしかありません。

ユニット部とカバーとを分解したところ。両者はゴム系と思われる接着剤で3か所固定され、さらにケーブル引出口には、引出口のゴムブッシュをホットボンドで固定していたことが判ります。
K404はカバーにメッシュが施され、一見オープンエアータイプに見えますが、透明の樹脂フィルムで外界と遮断されているので、一応は密閉型です。ただ、この樹脂フィルム、ペラペラの薄いフィルムなので、遮音効果はほとんどないと思われ、音漏れ具合はオープンエアー並みです。

ヘッドホンユニットと、純正の直出しケーブルとのハンダ付け箇所のアップ。用いられている導体は、ヘッドホン、イヤホンでは一般的に用いられているUEW線(ウレタン被膜線、代表的なリッツ線)です。

K404は左右のパーツで形状が異なるので、左右を間違えないようにテープなどで印を付けておきましょう。

熱したハンダコテでハンダを溶かし、ユニットからケーブルを取り外します。充分に熱したハンダコテであれば、コテ先をハンダに当てたら一瞬でハンダが溶解してケーブルが抜けとれます。あまり長くコテ先を当て過ぎるとユニットを傷め、最悪の場合はここでゲームオーバー!再起不能で音が出ないなんてことになりますので、ハンダコテを当てる時間はできるだけ短く!

取り外したケーブルは、その先端から数センチのところに、抜け防止用の結び目があることが判ります。

ケーブル引出口のゴムブッシュは再利用するので、ケーブルの結び目を解いて、取り外します。

さて、今回使用する交換用のケーブル。オヤイデ電気のHPC-26Tです!長さは好みで。ここでは屋外で扱いやすい1.3mに切りました。

HPC-26Tはイヤホン・ヘッドホンのリケーブル用に開発された、切り売り販売の新型ケーブルです。PCOCC-Aを導体に採用し、フッ素樹脂絶縁、オレフィンシースなど、高音質と耐久性に配慮されています。定価630円/m。直径2.0の1芯シールド線を2本平行に並べた、2芯平行ケーブルと呼ばれるケーブルです。程よい硬さとしなりとを有し、手触りはべとつかず、さらっとしています。

HPC-26Tを好みの長さ、概ね30cm程度がよいと思うのですが、カッターや手で2本に割きます。

分岐部分に収縮チューブを被覆して収縮します。これで分岐部分が割けるのを防止します。収縮チューブはφ5程度のスミチューブがよいでしょう。

ついで、さきほど純正のケーブルから外したゴムブッシュをHPC-26Tに通します。HPC-26Tは純正ケーブルより若干太く、すんなりとは通らないので、サラダ油でも結構ですし、オイル系の接点復活剤などでもけっこうなのですが、潤滑オイルのようなものを少し垂らしてから差し込んでください。ゴムブッシュはとりあえず、作業の邪魔にならぬようケーブルの奥まで通します。

先端から40mm程度のところに結び目を作ります。2本とも同じ長さのところに結び目ができるように。

ついで、ケーブルの先端の外装シース(黒い被覆)を20mmほど剥き、シールド線を露出させます。シースの除去には、カッターか万能ハサミを用いればよいでしょう。力を加え過ぎると、導体まで切り落としますので、力加減を会得するまでは、時間を掛けて慎重に切れ込みを入れましょう。

露出したシールド線を手で束ね1本に撚ります。
ついで、白または青の絶縁材の先端3mm程度を剥いて、中心導体を露出させます。絶縁材の除去には、シース除去と同様、カッターか万能ハサミを用います。力を加え過ぎると、導体まで切り落としますので、力加減を会得するまでは、時間を掛けて慎重に切れ込みを入れましょう。

シールド線に収縮チューブを被覆します。1.2mmのパンドウィット製収縮チューブが望ましいです。この収縮チューブが無ければビニルテープやフッ素樹脂テープや細くて柔らかめの何らかチューブを被せて絶縁しても構いません。

必須ではありませんが、シールド線と中心導体との分岐部分に収縮チューブを被せておくとよいでしょう。

ヘッドホンユニットのハンダにケーブル導体をあてがい、ハンダコテでハンダを熱して溶かし、ケーブル導体をハンダ付けします。基本的にはユニットに残存しているハンダのみでハンダ付けできます。ハンダが足りなければ、新しいハンダを少し加える程度でよいでしょう。

こだわる人は、残存するハンダを一旦ハンダ吸い取り器やソルダーウィックで除去し、好みのハンダを用いてハンダ付けすればよいでしょう。しかし、この場合、ハンダコテの熱が長きにわたりユニットに加わるため、ハンダの熱でユニットが破損するリスクも高まります。

カバーの元々接着剤が付いていた跡のところなどに、接着剤を少量付けます。接着剤を付け過ぎると、組み立てたときに、接着剤が溝からはみ出ます。写真ではボンドの口からそのまま接着剤を付けていますが、好ましくはつまようじなどの先で接着剤をつけるのがよろしいでしょう。

接着剤としては、コニシのゴム系G17やSU、あるいはセメダインのスーパーXなど、硬化に時間のかかる、そして接着強度がほどほどに強い接着剤が望ましいです。硬化に時間のかかる接着剤の利点は、組み立て後の位置合わせの微調整が可能というメリットがあります。接着強度がほどほどに強いというのは、いざという時 に再分解も可能というメリットがあります。これらゴム系やスーパーXは、万が一はみ出てもエナメルシンナーで綺麗にふき取れるというメリットもあります。2液性エポキシ接着剤などでもよいでしょうが、2液性エポキシ接着剤は硬化後の接着強度がかなり強いため、再分解は難しいかもしれません。

瞬間接着剤を使ってもよいのですが、接着部分が白化する恐れがあるのと、一発勝負で接着しなければならないことと、はみ出た際にふき取りできないなどのリスクあり。
また、おそらく瞬間接着剤で接着すると、再分解は難しいでしょう。瞬間接着剤を使う場合は、接着剤無しで組み上げて、テープなどで固定した後、接合部の隙間に粘着性の弱い、流し込みタイプの瞬間接着剤を流し込むのがよいでしょう。

前述に、接着剤がはみ出たらエナメルシンナーで拭くと書きましたが、数あるシンナーの中でもなぜエナメルシンナーかというと、下地を傷めにくいからです。エナメルシンナーとしては、田宮模型のX-20が好ましいです。一 方、外壁塗装用の油性塗料のうすめ液では、下地のプラスチックが荒れる恐れがあり、油性塗料のうすめ液より強力な「ラッカー系シンナー」では、プラスチッ クが溶解する恐れがあります。

ケーブルブッシュをケーブル先端側に引き戻します。
そして、ケーブル引出口に位置を合わせます。

さらにヘッドバンドの先端の軸を、元通りにヘッドホン本体に嵌めこみます。そして、あらかじめ接着剤を塗っておいたカバーを被せて、カバーと本体との嵌め込み位置を微調整しつつ、位置が決まったらビニルテープなどで固定します。

テープで固定した状態。数時間乾かします。

リケーブル後のケーブル引出口。まるで純正品のように、綺麗に処理できております!
まぁ、数々のカットアンドトライや失敗や凡ミスを積み重ねた上で、この作例が出来上がっております。


さて、お次はDAP側(ヘッドホンアンプ側)のプラグ取り付けです。ここではオヤイデ電気のP-3.5SRに適合する寸法での端末処理をご紹介します。オヤイデ電気製であれば、他にP-3.5Gも同様の方法でハンダ付けできます。

また、この作業はRch/Lchのシールド線を1本にまとめ上げる工程があるので、Rch/Lch同時に行います。

まずはケーブルにプラグカバーを通しておきます。ハンダ付け終わってから、カバーを通し忘れていたことに気づき、もう一度やり直し・・・なんて凡ミス、私もよくやるのですが。


まず、先端から約10mmのシースを取り除き、シールド線を露出させます。


ついで、Rch,Lch各々のシールド線(Ground)を手で一方向にまとめます。


Rch,Lch各々のシールド線(Ground)を手で撚り合わせ、1本にします。


白い線(LchのHot)を半分の約5mmにカットします。さらに、RchとHotのHotとを各々、その先端を約3mm剥き、導体を露出させます。

ハンダコテを熱し、露出した各導体にハンダを浸み込ませ、予備ハンダします。そして、シールド線(Rch/Lch共通Ground)を半分の長さ、約5mmにカットします。

シースの端を覆うように適当な長さのφ5mm程度の収縮チューブを掛けます。


プラグ本体(P-3.5SR)をバイスなどに固定し、ケーブルをかしめる金具の先の内側に、予備ハンダを盛ります。


金具の予備ハンダにケーブルのシールド線をあてがい、ハンダコテをあててハンダを溶かします。

ハンダが充分に冷めたらケーブルを押し倒し、金具に嵌めます。


 RchのHot(青い線)、LchのHot(白い線)をそれぞれプラグのLch(Tip)、Rch(Ring)にハンダ付けします。ハンダは迅速かつ確実に、瞬間的に行いましょう。もたもたしていると、絶縁樹脂が溶けだします(ある程度樹脂が溶けるのはやむを得ない)。

ハンダ付けが終わったら、金具のベロをラジオペンチなどで折り曲げ、ケーブルを固定します。さらに、はみ出た導体がないかどうか、ひげのように導体が出ているものがあればハサミなどでひげを切ります。ひげがあると、ショートの原因になります。

最後に、プラグカバーを本体に被せてミニプラグのハンダ付け完了!あとは、テスターを持っている人であれば、導通チェックをして完成です!


左がリケーブル前のK404。右がリケーブル後のK404。元はふにゃふにゃの安っぽいケーブルでしたが、リケーブル後はしなりがあって質感もよく、半艶黒で渋い感じ。見た目にもかっこよくなりました。


銀色に輝くオヤイデ電気のP-3.5SR。ケーブル自体をPCOCC-Aに換えた事も、音質向上に寄与していますが、プラグの変更も音質にかなり影響を及ぼしています。今回はP-3.5SR(銀+ロジウムメッキ)を使いましたが、これをP-3.5G(金メッキ)にしたら、音色はまた違って聴こえます。

総じて銀+ロジウムメッキは、輪郭を鮮明に描き、シャープで、クールでドンシャリ系。中低域を引き締めてタイト。テクノやロックをハードにカチッと決めたいならP-3.5SRでしょう。

一方の金メッキは、中低域に厚みを持たせて、陽性で明るい。過度に刺激を求めずに、オールマイティに、耳当たりよく、ボーカルを艶っぽく、かつ聴き疲れしない音色を求めるならP-3.5Gでしょう。

K404のリケーブル前と後のケーブル引き出し口の比較。純正ケーブルは1.8mm径で、リケーブルしたHPC-26Tは2.0mm径。


iPod tuochに素に差し込んで試聴してもけっこう差があります。

先日のみじんこブログから転用させてもらうと、K404は、もともと5,000円前後のヘッドホンにしては解像度が高く、レスポンスも速く、かつ中低域に厚みと押しの強さを持たせた、リズミカルで、ハ イCPなヘッドホンです。K404をHPC-26Tでリケーブルすると、K404の低域のもたつきが改善され、レスポンスはさらに増し、良い方向への変化 が感じ取られ、オヤイデのスタッフ数人にリケーブル前のものと比較試聴してもらったのですが、リケーブルの効果が大きいとの意見でした。

ヨドバシカメラ秋葉原店にはこのK404を含めたAKGのミニヘッドホンが一堂に会し、比較試聴可能になってます。で、このリケーブルK404を秘かに持ち込んで、上位機種等との聴き比べも行いました。あまりうだうだ書くと長くなるので、結論から申しますと、一つ上の兄貴モデルK414を凌駕する分解能。2ランクは上がった感じで、上位機種のK430に肉薄するか、それをも上回る繊細さと音場感を有していると感じました。

この作業工程の多さを見ると、俺には無理だな、素直に上位機種買えばいいじゃん、と感じる人もいるでしょう。それはそれでよし。リケーブルは自分だけのオリジナルの1台にカスタマイズするのが楽しいのであって、ここで紹介したリケーブル方法はあくまでひな形であり、一例です。プラグやケーブルを吟味して、さらにメッシュチューブを被せたりすると、なお楽しい。女性であればネックレスに使うビーズをケーブルに通したり、スワロフスキーなどをデコレーションしても楽しいでしょう。あ、ヘッドホンをスワロフスキーでデコるのは、すでに数年前から流行ってますね。

さぁ、改造魂に熱い人!ぜひこの作例を参考に、ヘッドホン・イヤホンのリケーブルにチャレンジしてみてください!こんなリケーブルしました!ってのがあったら、わたくしみじんこ宛てに写真付きでメールするか、ご自身のブログやホームページをご連絡ください。

今回製作したリケーブルしたK404は、今日あたりからイーイヤホンさんで試聴可能です!興味のある人はぜひ!

4 件のコメント:

  1. この記事を読んでATH-ESW9のリケーブルに挑戦しました!
    http://rikuto0109.blog22.fc2.com/blog-entry-23.html

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  2. このエントリの作例ですが、プラグにはんだ付けしている説明の画像、L/Rが反対ですね。

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  3. HPC-26TでSHURE SRH1840用作りました。
    良い感じにできました。

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  4. 自分が買ったプラグを通電チェックしてみたらどうも間違ってない様に思います。
    どっちがLRかはプラグによって分かりずらいかもしれません。
    事前にテスターでチェックした方が無難だと思います。

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