このブログを検索

2011年9月8日木曜日

SONYのCP-S300E/CP-S300Wはオーディオ用電源の革命児となりえるか?


ソニーが先日発表した家庭用蓄電池CP-S300E/CP-S300W。ソニーの2次電池のブランド名「サイクルエナジーシリーズ」に属するこの製品、最初にテレビのニュースで知ったとき、オーディオ用に使ってみたらいいんじゃない!?とピンと感じた。電源好きなオーディオマニアなら私と同じ想いのはず。商用電源のノイズから解放された、高S/Nの電源供給が実現できるのではないかと!


出力は2系統。3極ではなく、一般的な2極で角型の1個口タイプが2個設けられている。2極という時点で、すでにげんなりするのだが、一般用の電源装置だから当たり前だ。これが3極、しかもULタイプだった日にゃ~鳥肌もの。ま、いざとなればULコンセント取付けるように改造してしまえば・・・。

10月発売になるこのホームエネルギーサーバーCP-S300E/CP-S300W、すでに予約受付を開始していて、ソニーストア価格は148,000円。このちょっと高いけど、買えなくもない価格が、マニア心をくすぐる。きっといち早く導入するマニアがいるに違いないので、私はそのレポートを読んでから、好評であれば冬のボーナスで買うとしよう。いや、無理してでも業界一早く試してみたい気も・・・。

CP-S300Eは出力周波数50Hz、すなわち東日本用で、CP-S300Wは出力周波数60Hzで、西日本用です。まぁ別に、50/60Hz両対応の 機器への給電であれば、CP-S300Wを東日本で使っても問題ないのだろうと思うが、ここはメーカーとして念を入れて、CP-S300Eは東日本限 定、CP-S300Wは西日本限定と明記されている。

2次電池の方式は、オリビン型リン酸鉄リチウムイオン蓄電池というもので、リチウムイオン電池の一種だろう。近年のバッテリーの技術進化は著しいものがあり、このオリビン型リン酸鉄リチウムイオンは、10年もの長期にわたり性能を維持するという。

CP-S300E/CP-S300Wは、先行して商業用に製品化されているオリビン型リン酸鉄リチウムイオン蓄電池内蔵蓄電モジュールIJ1001Mを、家庭用に仕様変更した製品だと言える。

話が逸れるが、IJ1001Mはラックマウント可能な設計で、寸法はW432xH80xD421。これってオーディオ機器と同じ幅!しかもこのIJ1001M、見た目にもパワーアンプのようなシンプルな外観。オーディオ機器と並べても遜色なさそうな。1台で1.2kW/hの給電能力だが、さらに複数台接続しての増強も可能のようだ。モジュール単体では機能しないので、実際にはもっと大きな形状になろうようだ。IJ1001Mは一般向けに販売されているわけではないようだが、手頃な価格での一般向けの販売もしてほしい。あ、いろいろ調べてたらESSP-2000なんていう業務用蓄電池も発売予定みたい。


話を
CP-S300E/CP-S300Wに戻そう。
CP-S300E/CP-S300Wは、300W/hの供給能力を有しているので、CDプレーヤー、DAC、プリアンプに十分対応可能だろう。消費電力の低いプリメインアンプやパワーアンプにもなんとか使えそうかな。音がよくなるといううわさが広まれば、オーディオ機器1台につきCP-S300を1台、個別にあてがうつわものも出てきそうな。いやはや、発売前から期待が高まる製品だ。大きさはW210mm×H350mm×D270mmと、小さすぎず、大きすぎず、中型の電源タップ程度の大きさで、扱いやすそう。

黒い穴のようなものが、おそらくACアダプタの差し込みジャックだろうと思われる。そうそう、このホームエネルギーサーバーへの充電は、DC19.5V、3.9AのACアダプタを介して行われるようだ。


CP-S300E/CP-S300Wの天板には、スイッチ類が設けられている。CP-S300E/CP-S300Wは、内蔵の蓄電池からの直流をDC-AC変換回路を通して、CP-S300Eは50Hz、CP-S300Wは60Hzの交流電流を作り出し、2次側に繋がれる機器に給電することになる。問題は2次側に送り出される交流がどの程度理想的な正弦波を描いているか、というところなのだろうが、このへんは熱心かつ測定好きなオーディオマニアが、発売後においおい検証してくれるだろう。ははは、他人任せだなぁ。

CP-S300E/CP-S300Wと同様のホームエネルギーサーバーは、サンヨーのエネループシリーズにおいて、すでに具体化しているという話もあり、今後このような家庭用蓄電池が、電機メーカー各社から発売されるだろうことを期待したい。




ところで、オーディオ業界において
CP-S300E/CP-S300Wのような製品がなかったわけではない。それがオーディオ用に製品化されたバッテリー電源、J1プロジェクトのPPR-100だ。PPR-100はW340xH260xD480、質量38kgという、アンプ並みの大きく重い製品で、12V蓄電池を内蔵。筐体の大きさと質量からすると、おそらく鉛蓄電池だろう。50W/hで8時間、100w/hで4時間の給電が可能。コンセントはULタイプが1個(2個口)搭載され、J1素材からなるコンセントプレート付きという、高音質を追求した内容だった。
PPR-100の雑誌での評価は当然ながら高いものだったが、定価367,500円と高額で、大きく重い筺体ということもあり、メジャーな存在にはならなかった。

オーディオの世界では、オーディオ機器にバッテリーを内蔵させる試みが、少なからずおこなわれてきた。発電所から様々な経路をたどって送られてくる交流電源(商用電源)には、その経路の途中で様々なノイズが混入していて、それがオーディオの再生音に悪影響を及ぼしている。であれば、交流電源のノイズから無縁となるバッテリー駆動がいいではないか、という発想から、主に微細な信号を取り扱うプリアンプやフォノアンプにおいて、S/Nに優位なバッテリー駆動が採用されてきたのだ。


具体的なバッテリー内蔵型オーディオ機器としては、ジェフローランドの最上級プリアンプのコヒレンス2


テクニクス(Technics)のSU-C7000をはじめとするプリアンプ。


マランツ(Marantz) のセパレートプリSC-5/bb-5


近年では、サザーランド(SUTHERLAND)のフォノイコライザーPh3Dが、
乾電池を内蔵した、バッテリー駆動方式のオーディオ機器として挙げられる。いずれの機器も、バッテリー駆動ならではの高S/Nをウリにしていて、実際の評価も謳い文句通りのようだ。

CP-S300E/CP-S300Wを使えば、バッテリー内蔵機器と同じ、高S/Nという恩恵が受けられるのか?検証はCP-S300E/CP-S300Wの発売後になるわけだが、いずれにしてもCP-S300E/CP-S300Wの発売は、オーディオ業界にも少なからず影響を与える、トピック的な製品だと思う。CP-S300E/CP-S300Wに触発されて、家電メーカーのみならず、オーディオ専業メーカーから、よりオーディオに特化したリチウムイオン型のホームエネルギーサーバーが製品化されることを期待したい。え?オヤイデでやれって?それもそうなんだけど、実はバッテリー駆動に関して、すでにオヤイデ電気では昨年から進行中の案件があって、近々その一端をお披露目しましょう。

0 件のコメント:

コメントを投稿