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2010年7月28日水曜日

高野様のSTB-CM使用レポート

今月初めにSTB-CMのモニタープレゼントを実施しまして、続々とご感想が寄せられています。早速の書き込みありがとうございます。書き込みはオヤイデのオンラインショップのレビューにありますのでご覧ください。
さて、モニタープレゼント当選者のお一人、東京都の高野様より、STB-CMの詳細なレポートが届きましたので、ご本人了解のもと、ここに紹介させていただきます。
以下、高野様のレポートのほぼそのまま転載です。
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“序章”(準備):
6mm厚のMDFボード 300x400 を4枚購入。
うち2枚のMDFボードの6箇所に穴を開ける。
穴の大きさは24mm角。


続いて、穴を開けていない2枚のMDFボードをそれぞれ穴を開けたボードに貼り付けます。


これで厚さ12mm、300mmx400mmのボードが2枚完成しました。


もちろん塗装します。
さて、これでSTB-CMを使用する準備が出来ました。
2枚の厚板を用意し、4隅にカマボコ型の溝を彫るということが出来ず申し訳ないですが、均一の深さに溝を掘るということを考慮した場合、これが一番間違いの無い方法と考えました。
しかし、このMDFのボードサイズは、中途半端なサイズです。
電源タップに使用するには大きいし、アンプやプレイヤーに使用するには少し小さい。


さて、これを何に使用するかというと、我が家の唯一のブルーレイも再生できる、マルチチャンネルSA-CDプレイヤーこと、プレイステーション3(以下、PS3)に、です。

意外な使い方を、ということでしたので、別にオーディオ機器に縛られずに、こういう機器に使うのも良いのではないだろうかと考えたわけです。


視聴盤は、オヤイデ電気・リスペクトとして、こちらのCDを視聴に使用しました。
こういうCD、結構気に入ってます。作成者側も楽しく作成しているのが伝わってきますので。
(みじんこ注釈:このCDはラスマスフェイバーのPlatina Jazz -Anime Standards Vol.1 )


“第1章”(視聴):
視聴の説明:
上記2枚のオーディオボードの間に、STB-CMを配置し、STB-CMの様々な置き方で聴こえ方が変わるのかを試しました。


画像の通り、2枚の板の間に設置したSTB-CMによって、上の板は支持されています。
以下、視聴中のSTB-CMを拡大した写真です。

視聴をするにあたり、各種STB-CMの配置方法を下記の通りとします。

“横”…円筒形であるSTB-CMが横倒しになり、STB-CMの軸線が機器の左右方向を向いている状態で配置。

“たて”…円筒形であるSTB-CMが横倒しになり、STB-CMの軸線が機器の前後方向を向いている状態で配置。

“直立”…円筒形であるSTB-CMが直立状態になり、STB-CMの軸線が機器の天地方向を向いている状態で配置。

これを、4点支持、3点支持(前2、後1)、及び、3点支持(前1、後2)に配置した状態でそれぞれ(計9通り)視聴しました。

いずれの状態もPS3本体を軽く揺さぶっただけで前後左右に転がりました。免振構造にはなっているみたいです。


<テスト1>
“横”4箇所に配置
一聴して、キレが増した。音場が拡がった。
低域が増量したものの、高域は変わらず。
重心がやや後ろ下より。


<テスト2>
“たて”4箇所に配置:
キレ、音場の拡がりともテスト1(横:4箇所)と同じ。
しかし、全体的にS/N比が増した感じ。
こちらも重心は後ろの方、下より。


<テスト3>
“直立”4箇所に配置:
キレがより増した。
しかし高域が落ち、モニターライクになった。
重心、手前寄り。


<テスト4>
“横”機器の前面側2箇所、後ろ側1箇所に配置:
キレは少し落ちて落ち着いた音調に。なお、低域が増した。
どっしり感がある。重心は後ろの方、下より。


<テスト5>
“たて”機器の前面側2箇所、後ろ側1箇所に配置:
キレが少し上がり、元気の良い音に。
高域と低域が目立ち、中域が少し埋もれたようにも感じた。
個人的には好きな音。


<テスト6>
“直立”機器の前面側2箇所、後ろ側1箇所に配置:
キレは、テスト4(横:前2後1)と同様、少し落ちて、落ち着いた音調になった。
しかしテスト4と比較して中域が回復し聞きやすくなった。
ただしテスト4で感じられたどっしり感がなく、モニターライクになった。
しかしながら、それでもS/N比は高いのが感じられる。


<テスト7>
“横”機器の前面側1箇所、後ろ側2箇所に配置:
キレが今までと比べて少し減少した。
重心は真ん中の後ろより。
平べったいカマボコ型のようなモニターライクとはまた違ったモニター具合。


<テスト8>
“たて”機器の前面側1箇所、後ろ側2箇所に配置:
テスト4(横:前2後1)と同様にキレは少し落ちて落ち着いた音調に。
なお、低域が増した。どっしり感がある。
重心は後ろの方、下より。


<テスト9>
“直立”機器の前面側1箇所、後ろ側2箇所に配置:
キレはテスト8(たて:前1後2)と同じ。
ただし低域が膨らみがちのカマボコ型。
重心は後ろの方、下寄り。

テスト1~9を視聴して、テスト5(たて:前2後1)が個人的に一番好適に感じました。
テスト5で採用した設置方法を今後採用します。


“第2章”(他商品):
唐突ではありますが、我が家にはINS-CF(4個)が2セットあります。
一セットは普通に購入し、もう一セットは限定版のINS-BSとセットで付いてきたものです。
こちらを“第1章”で効果の高かった、テスト5「“たて”にした状態で、機器の前面側2箇所、後ろ側1箇所に配置」の状態でINS-CFを設置します。
なお、INS-CFは1枚だと穴の中で倒れてしまいますので、2枚重ねて使用しました。


視聴中のINS-CFの拡大画像です。
こっちの方が格好良いかもしれません。
音は、キレがより細かくなり、全体的に華やかになりました。
少しハイ上がりで低域がダウンした、中高域メインの音作りとなりました。
クラシックには良いかもしれません。


“第3章”(遊戯):
ここからは、更に遊んでみようと思い、創意工夫しました。

まず、同サイズのMDFボードを更に2枚購入し、貼り合わせます。
これにより、厚さ12mm、300x400mmの板が完成します。
この全周に、厚さ10mm、高さ20mm、のラワン棒を貼り合わせます。
最終的に塗装したものがこちらとなります。


底面にはフェルト生地を貼りました。


続いて、JR浅草橋駅線路下にある天然石を販売する店で購入した水晶を砕いたものを敷き詰めます。


もうここまで来れば予想が付いていると思いますが、ACOUSTIC REVIVEのクォーツアンダーボードの真似事をSTB-CMとのハイブリッドで試してみようというのが、“第3章”の主旨です。

勿論、“第1章”で紹介しましたオーディオボードを上に乗せることが出来るようにしてあります。

なお、STB-CMの配置は、これまた“第1章”で効果の高かった、テスト5「“たて”にした状態で、機器の前面側2箇所、後ろ側1箇所に配置」の状態で設置します。


結構な高さになり、大丈夫かな、と視聴前は不安になりました。

視聴の結果は、まず、音に艶が出ました。これまでのテスト結果からは得られなかった効果です。
音のキレはテスト5の時と変わらず、そのままでした。
重心は後ろの方、少し下よりです。
S/N比がこれまでで一番高く、かつ聴きやすいものでした。

最終形態と言っても良いかも知れません。

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以上、高野様のレポートのほぼそのまま転載でした。
もう本当に、これでもか!というくらい詳細な配置パターンでベストな音質を探っていただき、これからSTB-CMを使用する方々にも、きっと参考になる情報です。オーディオボードもかなり凝ってますね。少し水平が取りにくそうな気もしますが、水晶系は効果がありそうですね。私もアコリバの水晶インシュレーターRIO-5010好きで、愛用してます。

プレイステーション3は、オーディオの再生機器としても優秀らしいですね。昔のバージョンはSACDがかかるようになっていたと思いますが、現在のはSACDの代わりにBDが再生できたんですよね。

最後に、高野様はじめ、STB-CMのご感想をお寄せいただいた皆様に厚く御礼申し上げます。

オヤイデ電気のd+USBケーブル ダイナミックオーディオで試聴できます!


こちらダイナミックオーディオ5555の1階の奥、PCオーディオコーナーです。
パソコンを再生機器に、様々なUSB-DACの試聴が行えます。いま話題のOliveの4HDや、PS AudioのPerfectWaveTransportが陳列されています。

このコーナーに先週よりd+USBケーブル3種類(Class S,Class A,Class B、各2m)の比較試聴が可能になっております。 


パソコンは2台置かれているのですが、こちらはAppleのMacBookPro15inchです。iTunesをデータベースに、Mac用高音質音楽再生ソフトAmarraにて再生しています。パソコンの画面の左側の操作ウインドウがAmarraです。Amarraのフルバージョン(192kHzまで対応)とAmarra mini(96kHzデータまで対応の機能限定版)の両方が使用可能になっています。MacBookの右にちょこんと置かれている白っぽい四角い箱は、DDコンバーター USB-DDC24/96で有名なリンデマンの新製品、USB-DACのUSB-DAC 24/192です。


MacBookProに接続されているd+USB Class S。ただいまエージング中。PCオーディオ担当の田中さん曰く「かなり広いレンジですね」とのこと。USBケーブルも製品によって相当音が変わるので、PCオーディオでUSBケーブルが必要になった方は、色々試聴してから買われると良いでしょう。ダイナには試聴ケーブルが他にも、ワイヤーワールドその他諸々置いてあります。

なお現在、d+USBは、ダイナミックオーディオサウンドハウス1階や5階(ともに Class Sのみ)でも試聴可能です。


こちらダイナ5555のPCオーディオコーナーのUSB-DACの一部。他にも陳列していない製品が幾つかあるそうです。USB-DACも製品によって相当音質に差があるらしいです。

2010年7月22日木曜日

電源ケーブルの端末処理パターン!

先日、オヤイデ電気の公式ホームページに、自作講習会のときに参加者に配布した工作マニュアル集をPDFでアップしました。さらに今日、遅ればせながら「TUNAMI電源ケーブルの工作マニュアル」もアップしました!

ところで、このTUNAMI工作マニュアルでのTUNAMIの導体端末の処理方法は、Y字分けせずに、プラグ・コネクタ電極口に1本入れする工程で説明していま す。同講習会の2009/3/28実施分ではY字分け、4/4、4/11実施分では1本入れで工作を行いました。1本入れをやって改めて感じたのですが、5.5スケアもの極太撚線導体の1本入れは、綺麗に仕上げるのが非常に難しいということです。アース線に至っては、銅箔シールド のドレイン線(0.75スケア)も一緒に撚り合わせて電極(電源プラグ側のみ)に突っ込むのですから、5.5sq+0.75sqで6スケア弱の超極太線に なってしまいます。実際の講習会の現場では、ホット・コールドはかろうじて1本入れ出来ても、このアース線+ドレイン線を電源プラグに差し込むのがうまくいかず、Y字に変更して差込みなおす例が多々見受けられました。音は良いが、作るの難しい、それがTUNAMIの宿命であり、敷居の高さなのです。

そんなこんなで、TUNAMI電源ケーブル自作講習会は「Y字入れ」にて、もう一度やり直したい講習会なのです。

さて、Y字やら1本入れやら、なんのことやらわからんわ、という声が聞こえてきそうなので、以下にオヤイデの電源ケーブルを例にとって、端末処理パターンを説明します。


TUNAMIの1本入れ端末処理パターン。これは前述した工作マニュアルでの処理法です。この形状に端末を仕立ててから、3芯とも同時に、かつ慎重に電源プラグの電極差込み口に挿入するのです。

TUNAMIは5.5スケアの極太線で、しかもアース線はご覧の通り銅箔に沿わせたドレイン線と撚り合わせるので、6スケア以上になります。これをオヤイデやフルテックの電源プラグ・コネクターに差し込もうとすると、よほど熟練していない限り、差し込む際に端末がばらけてうまく差し込めないです。

一方、電源プラグによっては、その構造上、電源プラグの導体差込口が小さくて、1本入れで差し込む必要があるものもあります。具体的には、明工社ME2573,ME2591,ME7074,パナソニック電工(旧松下電工)WF5018,ハッベルHBL8215C,HBL8215CAT,HBL8215CT、ORB社製品などにTUNAMIを差し込むには、上写真のように1本入れにて端末処理します。なお、これら電源プラグは、導体差込口がすり鉢状のテーパー形状をしているため、5.5スケア線であっても、ばらけることなく意外とすんなり差し込めます。ただ、ドレイン線+アース線を撚り合わせた線は、さすがに太すぎて、撚り線を数本程度間引かざるを得ない場合もあります。

一本入れの場合、撚り線がばらけないように、ハンダで導体の先っちょを固める方法があります。この方法は、ダイナ植木店長の手法でもあり、一時わたしもこの方法を実践していました。この場合、多少なりともハンダの音が影響することと、ハンダを使わなければならないという面倒さ、それに5.5スケア線に対して綺麗にハンダを浸み込ませるのは、技術的になかなか難しく、下手をするとハンダを盛りすぎてプラグに差し込めなくなることもあり、そうなった場合、やすりがけで端末を整えねばならず、作業が煩雑になります。また、導体を加熱することによって、音質劣化が生ずるという方もいます。

また、Y型圧着端子や棒端子を導体に圧着やハンダ付けしてやると、プラグ・コネクターに差し込みやすくなります。これはこれで余計な端子が介在することによる音質劣化の懸念、端末処理作業が複雑になる、圧着工具が必要になる、良質な端子が入手しづらい、圧着に失敗すると端末処理を一からやりなおさないといけないなど、一長一短です。逆に言うと、良質な端子が入手でき、本格的な圧着工具を所有し、圧着に慣れている方なら、圧着端子による端末処理はベターな選択だと思う。なお、千円弱の簡易的な圧着工具は、圧着が不十分でお勧めできない。またペンチでの圧着も、圧着が不十分でお勧めできない。


TUNAMIのY字入れ端末処理パターン。TUNAMIの各芯線をそれぞれ略等分に分けて撚り、Yラグのような形状に仕立てます。TUNAMIをオヤイデやフルテック系の電源プラグ・IECコネクターに取り付ける場合は、このY字処理がお勧めです。私も普段、TUNAMIを扱う際にはこの端末処理を行っています。このように撚り線をY字型に仕立てることで、オヤイデやフルテック系製品の電極内中央を跨いでいるネジを回避でき、差込がスムーズに行えるのです。

なお、アース線は1/3と2/3程度に分けて、1/3の方にドレイン線を撚り合わせてやると、Y字にした際の2本の導体の太さがほぼ同じになって、より差し込みやすいです。

5.5スケア切り売り電源ケーブルとしてはTUNAMI以外に、例えばアクロリンクの6N-P4030、アコースティックリバイブのパワーマックス8800、オヤイデ電気のTUNAMI NIGOなどがあります。

5.5スケア線であっても、フジクラのCV-S5.5は、素線が太くて、しかも7本撚りと素線数が少なく、差込時にばらけにくいので、1本入れが基本です。また、オヤイデのEE/F-S2.6は、導体断面積が5.5スケア相当ですが、単線なのでY字に分けようがなく、また撚り線のようにばらけようがないので、必然的に1本入れになります。


ついでに、こちらBlackMambaの1本入れ端末処理パターン。BlackMambaは3.5スケア線で、TUNAMIの60%弱の導体断面積です。したがって、オヤイデやフルテック系の電源プラグ・IECコネクターにも、1本入れでなんとか対応可能です。ただし、アース線にドレイン線を撚り合わせると4スケア以上になり、差込にてこずります。よってBlackMambaにおいても、アース線のみY字にするか、3芯ともY字にするのがお勧めです。


BlackMambaのY字入れ端末処理パターン。オヤイデやフルテック系の電源プラグ・IECコネクターにBlackMambaを取り付ける際、3.5スケア導体といえどもY字入れにした方が導体がばらけずに、スムーズに差し込めます。

なお、スペック上は同じ3.5スケア線の産業用VCT3.5キャブタイヤケーブルは、Y字にしなくてもすんなりと電源プラグに差込めたりします。これはおそらくVCTの導体(3Nから4Nの電気銅)がPCOCC-A導体に比して柔らかく、差し込み前にしっかりと撚っておきさえすれば、ばらけにくいためでしょう。PCOCC-A導体は、電気銅に比して不純物が少なく(5Nから6N相当)、結晶粒界も少ないため、その手触りや物性が明らかに異なっており、音は圧倒的に良いものの、端末処理にコツを要する導体なのです。


オヤイデ電気PA-23の1本入れ端末処理パターン。PA-23は2スケア導体なので、これはもうY字にすることなく、どんなメーカーの電源プラグ・IECコネクターにもすんなり差込可能です。なお、PA-23には銅箔があるものの、ドレイン線は元々ありません。


Li50 OFCの端末処理パターン。Liシリーズの電源ケーブルは、4芯対角構造、すなわちスターカッド線なので、ホット・コールドともに2芯あります。1芯あたり2スケアです。私の経験上、オヤイデやフルテック系の電源プラグ・IECコネクターにLi50もしくはLi50OFCを取り付ける際は、ホット・コールドそれぞれ2芯づつを撚り合わせず、上写真のように個別の状態で導体を強く撚っておいてから、プラグ・コネクターに差し込むのがお勧めです。

Li50にはアース線が存在しませんが、上写真にあるように、L/i50 OFCには錫メッキされた裸のアース線が設けられています。ホット・コールド線との万が一のショートを避けるため、露出しているアース線の根元付近には、φ2程度の熱収縮チューブを被覆してやるとよいでしょう。


L/i-50 OFCのホット・コールドそれぞれの各芯線を撚り合わせて1本入れにしたパターン。2スケアX2本で、計4スケアとかなり太くなり、オヤイデやフルテック系のプラグ・コネクターには差し込みにくくなります。この状態に仕立てる必要のあるプラグ・コネクターは、前述したとおり明工社ME2573,ME2591,ME7074,パナソニック電工(旧松下電工)WF5018,ハッベルHBL8215C,HBL8215CAT,HBL8215CTなどです。

なお、上述した一連の端末処理の仕上がり形状の写真は、電源プラグに差込む側のケーブル端末を撮影したものです。IECコネクター側では、ドレイン線はアース線と結線せずに切り落とす、ホット/コールド線のY字の向きが90度違う(オヤイデのIECコネクターに差込む場合)など、仕上がり形状が一部異なります。

では、これらの端末処理方法を参考に、皆さんも電源ケーブルの自作に励んでくださいね。

2010年7月20日火曜日

HIVI8月号の電源ケーブルの極楽自作術


先日に続いて書籍の紹介続きになりますが、先週7/17に発売になったステレオサウンド社のAV総合月刊誌「HIVI 2010.8月号」。こちらの48-53ページに「簡単、お手頃でAVによく効く 電源ケーブルの極楽自作術」という特集が組まれています。主な執筆者は亀山信夫先生。電源ケーブルを自作するメリットとして「自分に“都合のいい”ケーブルができる」「高品位なケーブルが手頃にできる」「製作が比較的容易」という3点を挙げ、亀山先生の実体験を基にした電源ケーブル自作のメリットを述べられています。

さらに、50-51ページには「意外と簡単。電源ケーブルの自作方法」と題して、オヤイデのP-029/C-029PA-23からなる電源ケーブルの自作工程が、写真と解説を織り交ぜて掲載されています。この自作記事は、私が先月ステレオサウンド社にお伺いして、編集者の永水さんと一緒に電源ケーブルを製作し、その過程を収めたものです。この記事をご覧いただければ、意外と簡単に、しかも完成品より割安に、音の良い電源ケーブルを自作できます。

記事には載ってませんが、製作後のケーブル(私のと永水さんの計2本)は、試聴室のシステムに組み込まれ、即音出し確認。接続機器は、たしかソニーのSACDプレーヤーSCD-XA5400ESと、AVアンプTA-DA5500ESでした。エージング全くなしの状態でしたが、機器の付属ケーブルに比して、音の滲みが減少。見通しが良くなり、透明感が向上し、その場に居合わせた関係者一同、ほっと肩をなでおろした次第。取材は計5時間に及びましたが、編集者や亀山先生との雑談も交えながら、とても楽しい実のある時間でした。

52-53ページに掛けては、亀山先生による電源プラグ/IECコネクター6種の比較試聴が掲載されています。フルテック3種、オヤイデ3種と数は少ないものの、各メーカーの代表選手の音色の特色を分かりやすく紹介しています。書店でぜひ手にとってみてくださいね。


こちらは音楽之友社の「月刊STEREO2010.8月号」。現在本屋に並んでます。こちらの61-74ページにかけて、岩井喬先生によるヘッドホンアンプ16機種の比較試聴の特集が組まれています。その中で、66ページにオヤイデが輸入しているFiiO E7も掲載されてます。

さらに、141-145ページの山之内正先生による「新オーディオスタイルを追え!」という連載記事で、144ページにオヤイデ電気NEOのd+USB ClassS/ClassA/ClassBの試聴記事が紹介されています。興味のある人は見てみてくださいね。ではでは。

2010年7月19日月曜日

iPodではじめる快適オーディオ術お勧めです!


オヤイデ電気のPCオーディオ試聴会の報告でもご紹介しましたが、鈴木裕さんの著書「iPodではじめる快適オーディオ術」は、PCオーディオに興味のある人にとって、なかなか興味深い内容でおすすめです。iPod nanoをワディアのWadia170iTransportと組み合わせて使用したご本人の実体験を基に、なぜiPodは既存のCDプレーヤーより音がいいのかを分かりやすく解説されています。また、これに関連してパソコンでの音楽再生の優位点も述べられています。本の中半は、オーディオのセッティングの仕方やケーブル類の重要性、後半は関係者との対談、巻末には96kHz/24bitなどのハイレゾ音源DVD-ROMが添付されています。本屋にお立ち寄りの際は、ぜひ手に取ってみてください。価格は1,995円です。


PCオーディオと言えば、共同通信社から今春発刊された「PCオーディオfan vol.2」も読みごたえがあって、PCオーディオに興味のある人の必読書と言えるでしょう(PCオーディオfan初刊は昨年春に発刊済)。USB-DACやオーディオインターフェースの試聴レポートはもとより、MacとWindowsをPCオーディオで使う際の操作性や音質の差異、音の良い音楽再生ソフトの紹介、PCオーディオを実践されている評論家やマニアの紹介、その他かなりマニアックな内容になっています。価格は1,600円です。

ケーブル好き必読!ケーブル大全2011発刊されました!


先週7/17ですが、音元出版からケーブル大全2011が発刊されました!
2年に1度、季刊オーディオアクセサリーの総まとめとして発刊されるこのムック、今回はいつにも増して内容盛りだくさんです。ケーブルブランドの紹介、各種ケーブルの比較レポートや使いこなし、流行りのPCオーディオに使うUSBケーブルなどの新ジャンルの紹介、評論家やオーディオ店の一押しケーブルなど。オヤイデの電源ケーブル現行8製品の試聴も100-101ページに掲載されてます。本屋の音楽・オーディオコーナーに並んでるので、手にとって見てみてくださいね。オヤイデ電気秋葉原店にも見本を1冊置いてます。


さらにこちら、すでに先月発売の季刊analog vol.28。196-197ページに高橋民男氏によるフォノケーブルの自作記事、198-199ページの唐木シノブ氏によるストロボスコープ自作記事なんかが、個人的には面白かったです。232-233ページには、オヤイデのレコードスタビライザーSTB-MSやターンテーブルシートMJ-12の試聴評価が炭山アキラ先生執筆にて記載されています。ぜひ見てね。

2010年7月17日土曜日

いままでの自作講習会の工作マニュアル公開しました。

オヤイデ電気が2009年春より、定期的に行ってきました自作講習会。
すでに先週7/11に行われたRCAケーブル講習会で5回目となりました。この講習会に5回とも全て出席した方々は、オーディオに必要なケーブル類やタップがほぼ全てこの講習会の自作品で揃ってしまう(しかもオヤイデ的には採算度外視の激安)という、なんとも破天荒なイベントなんですが、おかげさまで毎回お申込み殺到で大好評です。

で講習会に来れなかった方々のために、講習会参加者に配布した工作マニュアルを公開することにしました。こちらのオヤイデ電気自作講習会マニュアル集か下のリンクをクリックしてご覧ください。PDFファイルで開きます。よかったら自作の参考にしてください。なお、各マニュアルに掲載している工作方法は、あくまで一例で、これ以外の方法では駄目というものではありません。

2009年3月28日/4月4日/4月11日電源ケーブル自作講習会 工作マニュアル
(私のパソコンのどこかにあるはずなのだが・・・現在捜索中。見つかり次第UPします。)

2009年6月28日RCAケーブル自作講習会工作マニュアル

2009年10月18日電源ケーブル自作講習会工作マニュアル

2010年3月14日電源タップ自作講習会工作マニュアル

2010年7月11日RCAケーブル自作講習会工作マニュアル

さて、先週の講習会の後、東京以外の地域でも講習会をやってほしいというご要望が寄せられています。大阪での開催は、だいぶ前から実施を検討していて、すでに開催場所の目星(難波近辺)を付けているのですが、そろそろ具体化していかねばな、と話し合っております。関西の方々で何かやってほしい講習会のネタがあれば、arakawa@oyaide.comまでご連絡ください。ではでは。

d+FireWire FW800-FW800発売します!


音の良くなるファイヤーワイヤーケーブルとして、5月の発売以来、好評を博しておりますオヤイデ電気d+FireWireケーブル。この度、数多くの熱いご要望にお応えして、両端にFireWire800コネクターを装着したバージョンを発売することになりました!その名はd+FireWire FW800-FW800。2010/7/20発売開始です。すでにオヤイデオンラインでは予約を受け付けております

用途としては、Macを主体としたFireWire800ポートを搭載しているパソコンと外付けハードディスクとの接続、FireWire800ポートを備えたパソコンとオーディオインターフェース(RMEのFireFace800)との接続です。既発売のd+FireWireと同様に、音の分離が鮮明になり、出音がすっきりしてきます。この変化は、機器の付属ケーブルをBlackManbaなどの電源ケーブルに交換した時に似ています。

DTM、レコーディングスタジオはもとより、PCオーディオでも大いに音質向上をもたらしてくれるでしょう。FireWire800の高速伝送を最大限に引き出すd+FireWire FW800-FW800にご期待下さい!

2010年7月13日火曜日

オヤイデ電気 PCオーディオ試聴会のご報告


先日2010年7月11日、ケーブル自作講習会の後に秋葉原の同じ会場で行われた、オヤイデ電気主催のPCオーディオ試聴会の模様をご報告します。すいません、すっかりUPが遅くなってしまいまして。


試聴会ではご覧の通り予想を超える40名以上の方々がご来場されました。当初、20名くらいと踏んでいたもので、来場者が増える毎、椅子をどんどん継ぎ足していったもので、試聴会場がずいぶんと後ろに延びました。後席の方々は、なかなかベストな状態で聴けなかったかも知れませんが、楽しんでいただけたでしょうか。


さて、使用した機材はこちら。

パソコン:パナソニック製 タフブック(TOUGHBOOK)CF-30KW1AAS
工事現場や戦場で使用される、とても頑丈な業務用のノートパソコンです。値段は36万円程度とかなり高額です。筺体が頑丈なのが功を奏してか、PCオーディオに転用した場合、音質最強と言われています。一般のパソコンショップでは見かけないノートパソコンですが、検索するとネット販売しているショップがけっこうあります。

外付けハードディスク:メーカー不詳
テーブル天板下の白い物体。特に特殊なものではないようです。この中に音楽データが収納され、パソコンとUSBケーブルで繫がれています。

外付けCDドライブ:プレクスター製 PREMIUM2U
音の良いCDドライブとして有名で、高音質になる様々な工夫が施されたドライブです。内蔵型もあります。パソコンとUSBケーブルで繫がれています。

オーディオインターフェース:RME製 FIREFACE-UC
USB入力が出来き、高精度クロック搭載、豊富な入出力、なにしろ低価格で音が抜群に良いという、2009年発売のオーディオインターフェース新製品。パソコンから送られる音楽データをUSBケーブル経由にて受け取り、この機材でDA変換します。

以上はRMEの日本法人、シンタックスジャパンさんの持ち込み機材です。

ユニバーサルプレーヤー:エソテリック製 DV-50
2002年発売のユニバーサルプレーヤーで、発売当時の定価は525,000円でした。今回はPCオーディオとの比較試聴用に用意しました。会社の試聴室の備品。

プリアンプ:CHORD製 CPA-4000
英国アンプメーカーの大御所であるコード社の製品で、発売当時の定価は1,735,500円。アンバラ・バランスともに入出力が豊富。今回は、フロントスピーカーに対する入力切り替え・音量調整用に使用しました。会社の試聴室の備品。FIREFACE-UCからの信号をTRS Phone-XLRケーブル(オヤイデNEO製PA-02TXM)で 受けています。

パワーアンプ:MARANTZ PRO製 PA02
鈴木哲氏設計のハイスピード系アンプとして有名なボリューム付きパワーアンプです。このアンプはみじんこの私物。今回はリアスピーカーの音量調整に使用しました。FIREFACE-UCからの信号をTRS Phone-XLRケーブル(オヤイデNEO製PA-02TXM)で受けています。



FIREFACE-UCのアップ。FIREFACE-UCは本来、レコーディングスタジオ向けの機器ですが、USB-DACの代用に好適で、PCオーディオ用途として爆発的に普及しつつあります。なんせ、ヨドバシカメラ秋葉原のPCオーディオコーナーやダイナミックオーディオサウンドハウス5階など、オーディオ関連のお店でも見かけるようになりました。そして、 USB-DAC以上の高機能を誇ることから、後述する様々な使いこなしができます。


FIREFACE-UCの背面。TRSフォーンジャックやら、USBポート、外部クロック入出力ジャック(BNC)やら、デジタル同軸入出力ジャック(SPDIF)やらが、所狭しと装備されています。白いケーブルはオヤイデNEOのd+USB ClassS。ピンク色のケーブルはTRS Phone-XLRケーブル(オヤイデNEO製PA-02TXM)で、1系統はフロント用アンプへ、もう1系統はリア用アンプへ接続されています。

私たちオーディオマニアが普段接しているオーディオ機器とは、ずいぶん勝手が違いそうな入出力系で、特にTRS PHONEジャック(電極が3つあるフォーンジャック)は、ヘッドホンケーブルを差し込む以外には、馴染みの薄いジャックです。これがPCオーディオに「オーディオインターフェース」と呼ばれる業務用機器を導入する際、どうやって既存のオーディオ機器と接続したらいいのやらと、大いに疑問を感じる点だろうと思います。しかし、このTRS PHONEジャック、実はオーディオでも普段見慣れているXLRバランスジャックと機能的には同じもので、TRS-XLR(オス)変換プラグ(例:トモカ製12-3P)をPHONEジャックに差し込めば、そこがXLR出力ジャックになり、オーディオのバランスケーブルを接続可能。また、TS-RCA変換プラグ(例:トモカ製2P-RCAJ)をPHONEジャックに差せばRCAジャックになり、オーディオ用のRCAケーブルを使用できます。ただし、FIREFACEの場合、PHONEジャック同士が近接しているため、TRS-XLR変換プラグを隣同士に連続しての2個差しができません。

一方、先にも紹介したとおり、一方端にTRSフォーンプラグ、他方端にXLRプラグを備えたPA-02TXMのようなケーブルを使えば、変換プラグ無しでオーディオインターフェースとアンプとをバランス接続できますし、PA-02DJ RMPという一方端にTRSフォーンプラグ、他方端にRCAプラグを備えたケーブルを使えば、RCA入力を備えたアンプにも接続可能となります。

なお今夏には、シンタックスジャパンとオヤイデ電気のコラボレーション「TRSフォーン-RCAケーブル」なども発売予定で、近いうち製品詳細をアナウンス出来ると思います。


PLEXTORのプレミアム2U背面。オヤイデNEOのUSB ClassAがささってます。わたし個人的には、オヤイデのd+USBシリーズの中で、このClassAが一番気に入ってます。オヤイデのPA-02というケーブルに良く似た、とてもハイスピードで抜けの良い、ストレートな音色が魅力です。製品開発時の試聴やこういう試聴会などで改めて感じますが、USBケーブルで音が変わるというのは本当です。

プレミアムが如何にオーディオ用途に特化されたドライブであるかは、共同通信社から今春発刊されたPCオーディオFan2に詳しく紹介されていますので、興味のある方はぜひ手にとってお読みください。ちなみに、プレミアムはPC自作に強いパソコンショップなどで普通に陳列販売されていまして、秋葉原ならT-ZONE秋葉原で山積みされてま す。なんせ、このプレミアム、2万円を切る低価格で高級CDプレーヤーより音がよい場合があるというのだから、オーディオマニアとしては妬ましいやら、悩ましいやら、試してみたいやら。見た目がもう少し良ければオーディオ機器と一緒に並べてもいいんでしょうが、ま、なんせパソコンの周辺機器ですからね。がんばる人は筺体を自作するなり、見た目のよい何かを貼り付けるなりすればいいかも。安いから2台買って、筺体を換えたドライブとオリジナルとの比較試聴とかもできちゃいそう。あぁ、思いっきり横道に逸れた話になってしまった。


試聴スピーカーは、フロントに米国のKRKのV8というパワードスピーカーを使用しました。ケブラーコーンの8inch(20cm)ウーハーを搭載。見た目通りけっこうパワフルに鳴ります。すでにシリーズ2を経て絶版になったモデルですが、発売当時の実売価格は20万円ペア程度だったようです。

オーディオ業界では認知度が薄いKRKですが、プライベートスタジオなどでよく使用されているスタジオモニターを主力としたスピーカーメーカーです。KRKのCEOが来日した模様がロックオンカンパニーのサイトに紹介されています。ちなみにこのスピーカーも会社の備品です。


これは試聴会前のリハーサルの様子。リアスピーカーには、フォステクスのG1300を使用。これはオーディオマニアの知名度が高いスピーカーで、たしかペア30万くらいだったでしょうか。スタンドはアコースティックリバイブ製の(背丈を高くした)特注スタンドです。G1300とスタンドとの間にはINS-CF、スタンドのスパイク受けにはINS-SPINS-BSに嵌めこんで使用しています。


試聴会の始りは、シンタックスジャパンの村井社長によるプロの現場でのデジタル録音の現状など、すでに録音段階では192kHz/24bitや96kHz/24bitで録音されている現状をお話しいただきました。また、CDとしてディスク化する段階でやむを得なく44.1kHz/16bitにダウンコンバートさせていることなど、プロの現場に精通している村井社長ならではのお話が聞けました。

その後、ビートルズのCD(DV-50で再生)とUSBメモリーで限定販売されたデータをタフブックに取り込んだ音楽データとの比較試聴を行いました。すなわち、CDの44.1kHz/16bit収録データと、HDに収納された44.1kHz/24bitとのビットの違い、メディアの違い対決です。CDはごく聴き慣れたバランスの良い音色で、パソコンからの再生はクリアーかつ元気のよい鳴りっぷりで、少なくともパソコンがユニバーサルプレーヤーに劣っているという感じは見受けられず、試聴後に複数人に聞いたところPCでの再生の方が、鮮度が高かったという意見が多かったです。私はパソコンでの再生のときに、少しノイズが混じっているようにも聞こえたのですが、正面で聴いていた他の感想では、ノイズは感じられなかったということです。なお、プレクスターのプレミアムでも鳴らしたかったのですが、時間の都合で割愛。


ついで、シンタックスジャパンの伊藤氏による、PCオーディオの概要と、音楽再生ソフトの代表例の説明がありました。これは音質がよいと言われているFoobar2000という再生ソフト。この再生ソフトによる音質差というのがけっこうあるらしく、手頃なのは一般に知られているiTunesやウインドウズメディアプレーヤーで、さらに上を目指すならFoobar2000や後述のCubaseなどの再生ソフトがよいそうです。


Cubaseというソフトは、スタインバーグという音楽ソフトウェアメーカーが開発した音楽制作ソフト。これも音質がよいのでお勧めとのことですが、はたしてPCオーディオで音楽を再生するだけの用途に用いるのは、もったいないやら、如何にも複雑そうな操作画面をどういじればいいのやら。使うのには気合いが必要かもしれません。


ついで、伊藤氏からRMEのFireFace-UCについて、各ポートの説明やFireFace-UCの独自性、他のオーディオインターフェースに対する優位性について説明がありました。


FireFace-UCを含めたRMEのFireFaceシリーズが、他のオーディオインターフェースに対して圧倒的な優位性を誇るのは、ステディクロックと呼ばれる、水晶発振器をソフトウェア制御する内蔵クロック機能だそうです。ゆえに、FireFaceは、オーディオインターフェースとしてのみならず、他の機器にクロックを送信するクロックジェネレーターとしても能力を発揮するそうです。上画面は、ステディクロックを用いた際のジッター除去性能について解説しているところです。

従来、オーディオ用クロックジェネレーターでは、エソテリックG-0に代表されるように、何十万から百万を超えるような高額製品が台頭していましたが、FireFaceではこれに勝るとも劣らないクロック精度が、十万円ちょっとで手に入るという利点があるとも言ってました。

ついで、2Lという音楽データ配信サイトのダウンロードデータの中で、FLACという形式でファイル化された96kHz/24bitのハイレゾ音源(高解像度音源)の5.1ch音楽ソフトをパソコンによる再生で聴きました。フロントとリアからの再生音が会場を包み込み、よもやこれがパソコンを再生機器に使っているとは思えないような生々しい再生音で、これはPCオーディオやってみると面白そうだな、と思わせるものがありました。

ちなみに、2Lからダウンロードした5.1チャンネル分の音声データは、ファイヤーフェースで4チャンネルにミックスダウンされて再生されました。その理由は後述します。

なお、2Lは商業サイトのため、基本的には有料の音楽データ配信を行っている会社ですが、一部お試し版的に無料の音楽データも公開、自由にダウンロードできるそうです。


これはFIREFACEに標準添付されてくるDIGICheckという音声データの操作アプリケーションを使って、5.1chの音楽や映画の信号を4chにミックスダウンする方法について説明している様子。

このように、5.1チャンネル以上の信号を4chにミックスダウンさせてやることで、センタースピーカーやサブウーハーといった大掛かりなサラウンドシステムを用意することなく、既存のステレオシステムに、リアスピーカーを1組付け加えるだけでサラウンド再生が可能になるというものです。そして、村井社長より、ハリウッドなどの映画を観るときにはたしかにセンタースピーカーから人の台詞が聞こえてくるので、センタースピーカーを置く意義はあるとは思いますが、こと音楽再生に関してはセンタースピーカーは必要ありません、と言った趣旨の説明がありました。では、もともと5.1チャンネルデータに含まれていたセンターとサブウーハーの音声データはどこへミックスされたかと言うと、フロントの2本のスピーカーに振り分けられているそうです。そして、その振り分け作業をソフトウエア上でおこなうのが、先述したDIGICheckというソフトです。なお、当日、この振り分け作業を具体的にどう操作するかというマニュアルをシンタックスさんが配布されました。、このマニュアルの内容、オーディオマニアには聴き慣れない用語も見受けられ、パソコンの扱いに不慣れな方にとっては、少し難しい内容かもしれませんが、このマニュアルを元にあちこちいじってみれば、なんとかミックスダウンはできそうな気はしました。


さて、お次はオヤイデ電気の傍嶋によるオヤイデNEOのUSBケーブル試聴。他社ケーブルとして、ゾノトーン、ワイヤーワールドとの聴き比べも行いまして、汎用USBケーブルを含め計6種類の比較試聴となりました。やはり汎用品は音もそれなり、圧倒的にd+USBが高音質です。その後、所用で私は会場を離れていたので、この場での試聴は聞いてないのですが、リハーサルや社内の試聴会の印象をまとめてみます。


汎用USBケーブル
たぶん数百円でパソコンショップで普通に売られているもの。フェライトコアが搭載されているから、多少はノイズなどに気を使ったもののよう。メーカー不詳。音は平坦で、定位も後述のオーディオ用に比して甘く、繊細さに欠け、高域がキンキンとがさついている。解像度のいまいちな印象。ただ、このケーブルだけを聴いていれば、PCオーディオもけっこう高音質なんだなぁと、納得もできそうな気もする。

オヤイデ電気NEO USB Class B
すっきり爽やかな印象で繊細。アコースティック系に合いそう。このケーブルは実売3000円程度だが、汎用品よりは明らかに解像度が上で、優位に立つ。

オヤイデ電気NEO USB Class A
ストレートで押し出しが強く、輪郭鮮明。ロック、ポップス、ジャズなどを歯切れよく聴きたいときに合いそう。

オヤイデ電気NEO USB Class S
レンジの広さを感じさせ、繊細で奥行き感が秀逸。レスポンスに余裕がある。がさつきが皆無。ジャンル選ばずだが、特に大編成クラシックなど再生の難しい音源に真価を発揮するものと思われる。

ゾノトーン 6N・USB-Grandio2.0
面白いのが、やはりゾノトーンの音がするということ。高域が少し華やぎ、音場感に長けた鳴り方。やはり導体の構成がUSBケーブルにおいても音質に表れてくるということかな。迫力やダイナミックさを狙うケーブルではない。

ワイヤーワールド STARLIGHT2.0
素直で整然とした、これもワイヤーワールドの血が感じられる音色。やや骨細系。

こんな感じでUSBケーブルの試聴は終わりました。この他にも幾つかのジャズやクラシックのハイレゾ音源を聴きまして、さらに最後に番外編として、先週村井社長と伊藤氏がスタジオでFireFaceや各種高音質マイクで生録したという音源を聴かせましょうというところで、パソコンがフリーズ。データを収納していた外付けHDを認識しなくなり、復旧できずに会は終了。このマスタリング前の生録データは、またいつか機会があったら皆さんにお聞かせしたいものです。実は私、シンタックスジャパンの社内スタジオで、この音源を事前に聴きました。リアル・・・の一言に尽きます。




これは試聴会が終わった直後の様子。皆さん一斉に機材の置いてある方へ。村井社長や伊藤氏は質問攻めに。実際、FireFaceを使っているという方や、今日の試聴会でFireFace購入を決めたという方、その他諸々、試聴会の後も盛り上がってました。


さて、こちらは試聴会場に設けられた、オヤイデ電気の新製品展示。PCオーディオとは対極に位置するようなアイテム、ターンテーブルシートMJ-12やらスタビライザーSTB-MSなども自由に触れるように展示しました。もちろん、今回の試聴会の目玉だったd+USBシリーズや、今回試聴はしなかったものの、やはりPCオーディオやレコーディングスタジオで人気のd+FIREWIREケーブル、BlackMmba-シグマなどの電源ケーブルも陳列。

最後に、私なりにPCオーディオに思うこと。

PCオーディオの醍醐味は、膨大な音楽データを自在に呼び出し再生できるという音楽ライブラリー的な側面がまず一つ。

さらに、今回試したように、オーディオインターフェースを活用して、手軽かつ自由度の高いマルチチャンネル再生が可能なこと。ただ、この点に関しては、マルチチャンネル音源が普及しないと、本格的な動きにはなりにくいかもと思いました。AVアンプの音質には不満だし、大掛かりな5.1チャンネルスピーカーは配置できないが、ハイレゾマルチチャンネル音源を鳴らしてみたいというオーディオマニアには好適かもしれません。手軽にマルチチャンネルというのは、今回の試聴会のように、既存のステレオに、もう一組最も手軽なのはパワードスピーカー(アンプ内蔵スピーカー、アクティブスピーカーとも呼ばれる)を1組追加して、センター、サブウーハーを排除した4ch再生に徹することです。(ただし、今回の試聴会システムは、機材の都合上、フロントがパワード、リアが通常のパッシブスピーカーでした。)

そして、PCオーディオ最大の利点は、従来のCD音質の限界であった44.1kHz/16bitを数倍上回る音楽データである96kHz/24bitや 192kHz/24bitなどのハイレゾリューション音源(HD音源とも呼ばれる)を扱えるという点、すなわちCDより音が良いという点にあるのでしょう。ただ、96kHz/24bitや192kHz/24bitであ れば、上限192kHzまでのサンプリング周波数を収容可能なSACDディスクでも同様のこと。

では、PCならではの音質上のメリットは何だろう。よく言われているのが、次のような仮説。光ディス クからのデータ読み取り時ではエラー補正が頻発し、必ずしもディスクのデータが完全に再生されているわけではない。すなわち、光ディスクドライブの機構上の限界。一方、ハード ディスクやSSDやUSBメモリーなどに収納された音楽データを再生する際は、従来の光ディスクで問題となるエラー訂正とは無縁らしく、したがって光ディスクより音質が上であるというのが、よく耳にする仮説。そう、あくまで仮説。

他にも、PCでの再生ではデータの 扱い上、ジッターが発生しにくいとか、理屈はよくわからないのですが、そういう話も見聞きします。これらPCの音質上の優位点、そしてオーディオマニア間 でも一部騒がれている「iPodは、うまくすればハイエンドCDプレーヤーより音が良い」という話について、かなりまじめに、しかもわかりやすく説明され ている本が、つい先日リットーミュージックから発売されました。

それは「iPod ではじめる快感オーディオ術 CDを超えた再生クォリティを楽しもう!」という題名の本。著者は、月間ステレオなどを中心に、オーディオライター をやっておられる鈴木裕さんです。この書籍によると、従来のCDも、普通にCDプレーヤーで再生するより、パソコンにリッピングして、そのリッピングした音楽データをパソコンやiPodで再生し、良質なDACでDA変換した方が、うまくすればハイエンドCDプレーヤーより音が良いということです。